はがき通信ホームページへもどる No.63 2000.5.25.
Page. 1 . 2 . 3 . 4 . 5 .
line
前ページへ戻る

大型リチウムイオン電池の開発

いい記事がありました。地元の佐賀新聞(4/26)によりますと、「佐賀大学など産・学・官共同で研究を続けていたチームは大型のリチウムイオン電池の開発に成功し、25日それを利用した電動車いすの走行を公開した」そうです。
リチウム電池は従来の鉛電池にくらべて高密度で持続時間が長いため、クリーンでハイパワー、コンパクトという利点があります。今までにも携帯電話やノートパソコンなどに使われていたのですが、大型の電池の開発は初めてとのこと。重さは1/3でパワーは3倍とのこと。これから、電動車いすの軽量化におおいに貢献しそうということでした。
私もよく、おとなり嬉野温泉の市街まで8kmほどを用事で電動車いすに乗って往復しますが、しばしばバッテリー切れすれすれになって冷や汗を流してきたのでもっと走行距離が伸びればありがたいところです。
佐賀県 : 中島虎彦 nakaji@po.saganet.ne.jp



陰茎プロステーシス

良い天気ですが、いかがお過ごしでしょうか。今回、脊髄損傷者の性についての本を持参して来ました。
この陰茎プロステーシスというオペは、以前は30から60万もしましたが、今はシリコンゴムだけの費用、5万ちょっとで済みます。半勃起状態ですので萎縮がないため、ユリドームも外れることはありません。せき損センターでやっており、このオペをするために日本全国から患者が来ていまして、私の友人も遠くからそれのために来ていたとのことでした。

陰茎は、常時上向きではなく、下向きもでき、早朝勃起や刺激での勃起も起きるとのことでした。古い病棟でオペを行っていた際、10%脱落の可能性があったとのことですが、今の新しい病棟ではほとんどないとのことでした。オペでは一時的に膀胱瘻を造り、それは約一ヶ月間だそうで、その理由は尿道に負担をかけなくするためだそうです。括約筋を切除し、陰茎プロステーシスにしようかと迷っている最中です。両方のオペを行えば、約二ヶ月間入院をしてくれとのことでした。

話しは変わり、私の場合、夏の暑さが苦手で、その夏がそこまで来ていて、それは大変です。お元気で。
匿名希望


この方法は本来、陰茎の神経血管系に異常のあるかたに適用されますが、陰茎海綿体に異物を入れる手術ですから、勃起機能がまったくなく、回復の可能性のないかたが対象になります。
プロステーシスには二種類のタイプがあります。一つは陰のうに納めたポンプによって下腹部に埋め込まれたタンク内の液体をシリコン製円柱に送り、自分の意思で勃起状態をつくるインフレータブル・プロステーシス(inflatable prosthesis)で、比較的生理的な勃起を可能とします。しかし手術に長い時間を必要とし、また器具にトラブルが生じた時、修復のための手術を必要とする場合があります。
もう一つは、セミリジッド・プロステーシス(semirigid prosthesis)と呼ばれるもので、いろいろな種類があり、たとえばステンレス製の芯棒をシリコンゴムで包んだものを、屈曲させたり、伸展させた状態でその形を固定し、歩行時や排尿時など日常生活に支障をおこさないよう考慮されたものなどです。(中略)
また、脊髄損傷者は尿路感染症を合併していることが多く、陰茎の血液循環も悪いため、プロステーシスの感染や脱出などの術後合併症がおこりうることを十分承知しておく必要があります。
(資料抜粋:脊髄損傷者のための「性と出産のガイドブック」三輪書店から)



吹き矢(呼吸訓練法の一つ)の紹介

皆さん、吹き矢をご存知ですか。長い筒の棒に吹き矢を入れて、的めがけて思いっきり吹き飛ばして的中度を競うスポーツです。新潟県長岡市の皮膚科医・樋口裕乗先生は、このスポーツ吹き矢のたいへん熱心な推進者です。頸髄損傷者にこの吹き矢が呼吸訓練になると、メールでたいへん熱心に薦めてくださっています。樋口先生は、吹き矢の道具一式をはがき通信用に寄贈して下さっているそうです(向坊さん宛て)。私も浜松で導入したいと思い、樋口先生にメールでお願いしましたら、医大へと一式贈呈していただきました。
スポーツ吹き矢は健常者用にルールが開発されていますが、少し改良すれば頸損者にも十分楽しめるし、呼吸訓練に有効と感じました。一度、銀座で開催された競技会を見学してきました。
最近のメールによると、樋口先生の紹介ですでに頸損者のスポーツとして導入し始めた施設があるそうです。はがき通信の交流会でも、この吹き矢大会を導入しても良いかもしれませんね。
なお、関心のある方は、樋口先生のホームページをぜひご覧下さい。
静岡県 : 松井(編集顧問)
http://www.echigo.ne.jp/~dhiguchi/HOME dhiguchi@mail.echigo.ne.jp

医学用語について


いきなりお尻の話で恐縮ですが、皆さんご存知でしょうけど、お尻は医学用語で「でんぶ」といいます。パソコンで漢字変換すると「臀部」と出てきます。パソコンをお使いの方試してみてください。ところが、うちの学生は大半が「殿部」と書いてきます。学生の病棟実習記録を見ていて、とても気になりました。また最近、若い助手の方と翻訳した「ALSマニュアル」にもこの「でんぶ」が何回かでてきます。助手の方も「殿部」と書きます。私はそれを皆、「臀部」と修正していました。広辞苑でも三省堂でも朝日新聞から発行されている高齢者用の辞典にも、すべて「臀部」が使われていますので。

ある日、私は「うちの学生も助手も臀部という字が書けない、困ったものだ」と看護学科の解剖の教授に話しました。そうしましたら、日本解剖学会で「でんぶ」を臀部から月を取って、「殿部」に変更したと、その教授が解剖学辞典を持ってきて見せてくれました。確かに解剖学辞典には「殿部」となっています。人体の名称は、解剖学辞典に従うものだとその教授は申します。私もそう思いますが、それなら日本解剖学会が広辞苑なり、大手の辞書出版社に修正を申し入れるべきではないかとその教授に反論しておきました。そうした問題は殿部に限らず、まだいくつもあるに違いないとその教授も言われていました。カルテの開示が本格化しているときに、統一しておいてくれないと困ります。

「筋弛緩剤」の「しかん」も、以前は「ちかん」と読んでいました。最近の学会で、神経内科のドクターが「ちかん」と報告しているのを聞いたことがあります。広辞苑には「しかん」と「ちかん」の両方がでていますが、学生は「しかん」と習っています。ですから「ちかん」などと言おうものなら、即刻学生から注意されます。
漢字ではありませんが、英文の和訳でも医学会で不統一な用語がまだいくつかあります。通信メンバーからときどき私に問い合わせがあり、可能な限り医学用語辞典を調べますが、掲載されていない用語がいくつもあります。例えば、皆さんにとっておなじみの「自律神経過反射」もその一つです。クリストファー・リーブの「車椅子のヒーロー」で「自律神経異常反射」と訳されているが、「過反射」のほうが正しいのではという問い合わせもありましたが、神経学用語集でも「異常反射」と掲載されています。専門医の間でも統一とれていない用語は他にもいくつもあります。「ALSマニュアル」でも神経学用語集や他の関連書で使用されている用語を使っても、神経内科専門医から別の表現のほうが一般的だと指摘され、訂正すべきかどうか迷うことがありました。
ただ、この間の体験で得た教訓は、自分が過去習ったり、あるいは辞書にでていたから絶対に正しいとか、間違っているとは決め付けてはいけない、どうして違っているのか関係の複数人に問い合わせることでした。
松井 和子(編集顧問)
編集委員 向坊弘道 zi5h-mkib@asahi-net.or.jpPOST
      



長野の山荘


こんにちは。長野の山荘についてお知らせします。私たちが夏に一度行ったところなのですが、「五合庵」と言います。場所は、諏訪湖から小一時間山に入った高遠町です。

住所は、上伊那郡高遠町藤沢松倉4788-4
TEL:0265−96−2141

高速道で行くと諏訪インターから約30分のところです。
ここは、名古屋のAJU車椅子センターが出している福祉情報誌に載っていたお宿です。宿のご主人は元々建物の内装の仕事をしていた方で、退職後自分の作りたかった家をずっと住みたかった南アルプスに建てたのですが、あまりに美しい自然を自分たちだけで楽しむのはもったいないと、一日に一組だけのお客さんを迎えるお宿をはじめました。宿作りにあたっては障害のある人にも是非来てもらおうと、名古屋のAJUまで行って勉強したのだそうです。
なるほど、トイレがとてもよかったです。お風呂は使いやすいかどうかはお客さんによって違うとは思いますが、広くてシャワーチェアも置いてありました。湯船は体を伸ばして入れ、なにより木のお風呂ってのがうれしい。この浴室は、ご主人とおかみさんの手作りだそうです。温泉じゃないけど澄んだ山水がとても温まります。
一泊二食付き、一人15000円。
ボリューム満点のおもてなし料理は母屋で頂きますが、宿泊場所は母屋のすぐ隣のはなれなので、トイレ浴室付きの全くのプライベート空間です。お部屋は和洋室で、洋室にベッドが二つあり、合わせて8人まで泊まれるそうです。
山荘の前の道も庭も、車椅子で動きやすいとはお世辞にも言えない山っぽさ。きじやたぬきがおなじみさんの山の中の一軒宿です。
(車いすの知人のメールより 瀬出井)



チップ埋め込みで、下肢不随の人が歩行可能に


交通事故に起因する麻痺で歩けなかったフランス人が、チップの埋め込み手術の結果立てるようになり、コントローラーを組み込んだ杖(つえ)の助けを借りて歩けるようになった。欧州委員会が資金の半分を援助し、150万ユーロをかけた医療技術開発プロジェクトの初の成功例だ。
このフランス人は1990年に交通事故に遭い、両足が使えなくなった。2月に行われた手術が成功。患者は現在、専用のコントローラー内蔵の杖の助けを借りて歩けるようになったが、まだ車椅子も併用している。この手術に使われたチップは、立ち上がる動作と歩く動作をコントロールするもので「SUAW(stand up and walk)」チップと呼ばれている。
チップを提供した米IBMによると、皮下に埋め込まれた3.9×4.5ミリのチップから電極が筋繊維に接続され、電気信号で足の筋肉を刺激して動かす。チップを開発したのはフランスにあるIBMの研究所で、ロジックコアと2つのアナログデジタル変換回路、1つのデジタルアナログ変換回路が組み合わされている。
筋肉は正常だが、神経系に問題がある下肢の麻痺の場合に、神経に代わって刺激を送ることで歩行機能を取り戻そうとする技術で、今後も5例の手術が予定されている。実用化されれば、下肢麻痺の人に希望を与えることができそうだ。
[米IBMの発表]
http://www.ibm.com/news/2000/03/231.phtml
情報提供:2000年3月24日オンライン毎日

このページの先頭へもどる  次ページへ進む


line

HOME ホームページ MAIL ご意見ご要望