はがき通信ホームページへもどる No.139 2013.2.25.
Page. 1 . 2 . 3 . 4 .

前ページへ戻る

 長野・岐阜2泊3日の旅(前編) 

56歳、♂、受傷歴28年、C4、電動車椅子使用

 10月19日(金)の早朝4時30分にヘルパーさんに来てもらい、洗面と着替えをして車椅子に乗ります。6時には家を出なければいけません。当初予定していた特急「しなの」の切符が取れず、1時間早い出発です。


      ●特急「しなの」車中にて

 松本には名古屋から2時間の道のりで、車中にて早めの食事をとりました。12時過ぎ松本駅に着くと、昨年と同じ観光タクシーの運転手さんが出迎えてくれました。「やー!」こちらも昨年同様、友人夫婦とヘルパーと私の遠慮のない旅です。
 さっそくタクシーに乗り込み、国宝松本城に行きました。別名烏(からす)城と呼ばれる格式のある美しいお城で、天守閣は創建当時(1590年頃)の建物です。したがって?中には入れません。因みに、他の国宝のお城は、姫路城、犬山城、彦根城、二条城です。



 次の大王わさび農園は、広大な敷地にわさびが植えられています。水路には透き通った水が煌々(こうこう)と流れ、太陽の光を受けてキラキラ輝き、周りの緑と相まってとても綺麗でした。少しお腹が空いたので、長野名物のおやきを食べました。
 それから、雄大な北アルプスを背に安曇野の田園風景が見られる、絶景ポイントの池田クラフトパークに行きました。残念ながら北アルプスには、薄雲がかかって最高峰の常念岳は見えません。
 この日の泊まりは、安曇野の山腹にあるホテルで、食事は洋食です。となれば、お酒は信州ワインですね。メインディッシュには鹿肉が出てきました。2時間半のゆったりした夕食です。廻りを見渡すとほとんどの席が年配の夫婦風?です。部屋はとても広く、居間、和室、ベッドルーム、キッチンがあり、4人一緒に泊まりました。
 2日目の朝、予定した乗鞍(のりくら)スカイラインが凍結のため通行ができないとの情報が入ったので、とりあえず、昨日雲がかかっていて北アルプスの山並みがよく見えなかった、池田クラフトパークに行きました。朝から天気もよく、常念岳はもちろん白馬岳あたりも見ることがてきました。
 そうこうしていると、乗鞍スカイラインの通行が解除されました。乗鞍高原には長野県側からスーパー林道を上がり、岐阜県側の乗鞍スカイラインを下りるコースです。山が徐々に紅葉していく様が見られ、標高1500m位がピークでしょうか? 紅葉越に乗鞍岳が望めるロケーションは最高でしたが、逆光の関係か? 写真はもう一歩。頂上に近づくにつれ紅葉も終わり、カラ松から低木のハイ松に変わっていきます。運が良ければ雷鳥にも出会えるとか?


        ●乗鞍高原畳平にて

乗鞍高原の畳平は標高2700m、車で登れる日本で最も高い場所です。さすがに寒い! 3度です。風も強く、雲もかかってきました。ネットショップで買った足袋(向坊さん方式)がとても重宝しました。車椅子上での脱着が可能なように、お尻の部分は取り除いています。(後編に続く)

広島県:Y.O.


 腰折れ俳句(22) 


 人類の叡智(えいち)信じて屠蘇(とそ)を酌む

 颯爽(さっそう)と参ろう冬の散歩道

 豆をまく我が鬼母の鬼にまく

 立春の光と影のせめぎあう

 春はあけぼの静かに夜を折り畳む




         イラスト/K.S.

熊本県:K.S.



 受傷時の輸血 


 同じ横須賀市内の頸損の男性が亡くなられました。最期は、肝硬変による多臓器不全ということのようでした。私より2つ年上の53歳。若過ぎる死でした。
 彼とは若い頃、県のスポーツ大会でご一緒したりしていました。その後十数年、お会いする機会はありませんでしたが、訪問看護師さんつながりで消息を知ることになりました。快活で、屈託のない笑顔が記憶の中に残っています。20代前半で受傷され、晩年はお母様とお暮らしとのことでした。ただ、同居されていらっしゃるのかどうか、娘さんが1人おられました。受傷前にご結婚されていたということですね。
 私が消息を知った頃は、褥瘡の処置のため訪問看護師さんが入っていたようです。しかし、その頃には、C型肝炎からすでに肝硬変に移行しているという状況でした。受傷時の輸血が原因とのこと。40代半ばで見つかったときは、肝硬変になってしまっていて治療も手遅れだったそうです。定期的に血液検査を受けていれば……と悔やまれます。そのような情報も、知識としてなかったのかもしれません。私の知る限り、受傷後50年もしてからC型肝炎を発症された方がいます。
 頸損は、受傷時の事故などで輸血をしている方もわりといるのではないかと思いますので、定期的に血液検査をして感染の有無を確認したほうが安心して生活できるのではないでしょうか。彼の死を通してそんなことを改めて感じましたので、原稿にしてみました。ちなみに、私は輸血はしていません。一般の血液検査の項目には、肝炎の有無は入っていないかもしれません。
 最期は病院ではなく、ご自宅で家族に見守られながら息を引き取られたそうです。訪問看護師さんは、亡くなる前日まで会話を交わされたとのこと。穏やかなお顔だったのひと言に、深く慰められました。ただ、腹水がたまり続け、そのために排便やガス抜きも大変で最期の約半年は、まったくベッドを起こすこともできない状態だったようです。納棺のために最期に抜いた腹水は、6リットルあまりにもなったそうです。
 本当に本当にお疲れさまでした。どうぞゆっくり安らかにお休みください。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

編集担当:瀬出井 弘美



 ひとくちインフォメーション 


 ★ 2013年度(第40回)全国頸髄損傷者連絡会総会・神奈川大会のお知らせ

 期日/平成25年6月8日(土)〜9日(日)
 会場/総会:かながわ県民センター(横浜駅西口)
    交流会:崎陽軒(きようけん)本店(横浜駅東口)
 宿泊/横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(横浜駅西口)
 【プログラム(案)開催概要】
 ◇6月8日(土)
   13:00〜       受付開始(開場)
   14:00〜15:15 記念講演(医療関係者予定)
   15:30〜18:00 総会
   19:30〜21:30 全国交流集会(崎陽軒本店)
 ◇6月9日(日)
 神奈川県内の観光地バリアフリー体験(全日程終了)
 〈1〉みなとみらい 〈2〉横浜中華街 〈3〉鎌倉
 【参加費概算】
●講演(8日)のみ:¥1,000/付添(無料)
●日帰り(8日):¥8,000/付添¥7,000
●宿泊(8〜9日): 当事者+付添=¥30,000(資料代+交流会+宿泊)
 【お問い合わせ・連絡先】
 編集担当の瀬出井まで
 E-mail: h-sedei@js7.so-net.ne.jp
 ※会員でなくてもご参加いただけます。4月頃に詳細なご案内を発送予定です。










【編集後記】



 今年の冬は、寒さが厳しいように思います。夏の長い酷暑といい、頸損者にとって外出の好季節、ホッとできる四季の期間が短くなってきているようで辛いものがあります。
 昨年の12月半ば、風邪の諸症状はなく、泌尿器からと思われる高熱をいきなり出しました。夕方から悪寒がひどくなり、熱を計ると39度ありました。尿の混濁はさほどでもなく、血尿など発熱以外の自覚症状はまったくありません。
 手持ちの抗生物質と鎮痛解熱剤と水分摂取で対処し、病院へは行かなかったので本当に尿路感染かどうかは不明です。3日で熱は下がりました。高熱が出ているときに医者へ行くのはシンドイので、常備薬として抗生物質と解熱剤は必要だと改めて実感しました。
 私の前に、Iさんが尿路感染の高熱でダウンしたばかりでした。「寒くなるとつい水分を控えちゃうからね」と、お互い確認し合いました。皆さん、冬でも水分はこまめに摂取しましょう。
 ご挨拶が遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。皆様からのご投稿をお待ち申し上げております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次号の編集担当は、藤田忠さんです。

 編集担当:瀬出井 弘美







………………《編集担当》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:fujitata@aioros.ocn.ne.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp

………………《広報担当》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2012年4月時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2丁目2-18
TEL:092-292-4311 fax:092-292-4312
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

このページの先頭へもどる


HOME ホームページ MAIL ご意見ご要望