はがき通信ホームページへもどる No.122 2010.4.25.
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 「はがき通信」collection(1)


 過去に「はがき通信」に掲載された投稿文を再録するという新コーナーです。
 1回目は、今のようにパソコンやインターネット・メールも普及していなく、地域で孤立しがちな当事者間の情報交流の必要性を痛感されていた向坊さんと松井先生が情報交換の目的で、1989年12月の「はがき通信」創刊前に向坊さんが、投稿を呼びかけるために数十名の四肢マヒ者に送ったハガキと1990年2月にA4裏表の2ページで創刊された創刊号(ニュースを除く)を掲載させていただきます。



◆「はがき通信」創刊前のよびかけハガキ

 いかがお過ごしですか。平成元年にちょうど、神経科学総合研究所の松井先生にお会いでき、頸損上位の我々の四肢マヒ者の情報交換誌を発行していただくことになりました。お互いに不自由な我々の交流のために協力して下さる方が現れて、こんなにうれしいことはありません。
 私の場合、受傷歴30年のC4.5ですが、7年前までコンドーム式の排尿方法を知らず、オムツをはめて外国旅行に出かけたことがありました。
 交流を通じて少しでも多くの知り合いになり、励まし合いましょう。他に頸損の方があれば、ぜひ名前と住所をお知らせ下さい。皆さんの寄稿もお待ちしています。ハガキでも電話でも結構です。合掌

向坊 弘道


◆「はがき通信」創刊号

《ごあいさつ》
 寒中お見舞い申し上げます。
 昨年末に向坊弘道氏の「よびかけ」をお送りしてから約2カ月経ちました。よびかけ人の向坊氏は現在フィリピンに滞在中です。3月の帰国では間隔があきすぎますので、僭越ながら私が向坊氏の代行として第1号を発行させていただきます。
 「よびかけ」を郵送後、数人の方から私の研究室に賛同のお手紙やお電話をいただきました。なかには呼びかけたからには続けて発行してほしいという注文もありました。1号で中断せず、定期的に発行できるようにしたいと思いますが、そのためにも最初から欲張らず、継続できるような方法を工夫しながら、この通信を高位頸損者の情報網の1つにしていければと願っています。

 1990年2月1日 松井


 ◇向坊氏の年賀状  

 あけましておあでとうございます。いまフィリピンのほうには私とTさんと韓国人の身障者がおります。・・・政治的な混乱による危険はありません。のんびりと平和です。日本からのお客さんが入れ替わりたちかわり来ています。
 現地のスタッフもやっと少しずつ仕事ができるようになりました。採用しているデ・メサファミリーの酋長が病気のために今年は長期滞在希望者を断わっています。
 さて同封の写真は私が考案した簡易リフターで、GLIP製作、費用は1万円余りかかりました。現在2台作り供用中です。ロープと滑車の原理で身障者の体重が4分の1の引っ張り力に変わるのがミソで、どこかに情報提供できれば、こういうものもあることを広く知らせて下さい。スタッフの男性2名が脱腸になったのですが、このリフターで事故は防げる見通しです。では冬の間お身体を大切に。

向坊 弘道


 ◇F氏の自己紹介  

 昭和40年8月26日生まれ 24歳 男。
 受傷 昭和58年12月30日交通事故(自動車)現在沢渡温泉病院入院中。私は頸髄損傷のなかでも、生活をするという中では最も重度の頸損です。
 肩から下の働きや感覚を失い、ほとんど介助者にたよる毎日です。 
 受傷時は高校在学中でもあり、身体障害者という言葉を聞いたときのショックはとても大きいものでした。頸髄固定手術を受けた後、リハビリテーションを目的として、現在の沢渡温泉病院に転院してきました。時のたつにつれ、働きはもどらないものの発熱、褥瘡、起立性低血圧、尿路管理などの基本的な自己生活管理は順調にいきました。リハビリテーションといっても私の場合、症状が固定した今は、現在の体調を維持する事が主で、ROM訓練、マウススティックを使用したパソコン訓練くらいです。
 受傷後6年がたちますが、自分の障害を受容することは皆さん経験済みでしょうが、本当に大変なことです。私が、一人の障害者として生きていけるのも勿論、家族を始め沢渡温泉病院の職員の方や色々アドバイスをしてくれた障害者の皆さん、その外大勢の皆さんのお力のおかげだと思っています。そしてワープロで自分の思いを活字にし、手紙を書いたり日記を書いたり、電動車イスで自分の思うところに動けるということも、頸損になった私にとって素晴らしいことのひとつです。 
 最近は外出に心がけ、頸損連絡会の総会に出席したり、ピア・カウンセリング集中講義に参加したり、昨年は電話級アマチュア無線技士の免許を取得しました。私は退院後、療護施設へ入所が決まっていますが家で生活している皆さんから見れば何故? と思われると思います。確かに家族と生活することも大切です。でも18歳で受傷した私は家には帰らず介助者に頼りながらも親から独立した生活をしたいのです。 
 施設で生活していても障害者運動をしたり、サークル活動や、その地域で立派に生活している人もたくさんいるようです。そして施設退所後もバークレイのように、完全な四肢麻痺者が、一人もしくは障害者どうしでの生活を日本で実現するという事が私の大きすぎる夢です。
 自分の考えばかり書いてしまいましたが、90年代に入り、福祉や福祉機器などもいままで以上に進歩する事と思いますが、時代が進むにつれ、交通事故や労働災害などで頸髄損傷、とくに高位の頸髄損傷者が増えることは確実です。私たち高位頸損者は、これから増える高位頸損者が、生き生きと人間らしい生活をおくれる社会を作っていくことが、これからの役割だと思います。
 まだまだ寒い日が続きます。風邪など引かれませんようお身体を気をつけて、お過ごし下さい。


 ◇あとがき

 堅苦しい通信にならないようにと工夫したつもりですが、いかがでしょうか。感想をおよせ下さい。隔月くらいの間隔で通信を出せればと考えています。次号は3月下旬を予定しています。なお私どもの研究室で通信を出させていただく間、当研究室の若手の研究員、渡辺さんが参加してくださることになりました。大学院を終え神経研に来て5年目の、まだまだ修行中の身です。私自身の勉強も兼ね、最近出た本や論文の中から、ちょっとおもしろいデータやトピックスを紹介していきたいと思います。どうぞよろしく。(渡辺)

東京都神経科学総合研究所 社会学研究室 松井+渡辺



 ひとくちインフォメーション 


◆第3回全国頸損連絡会・日本リハ工学協会合同シンポジウム

日時:2010年5月23日(日)13:00〜16:30
会場:江戸東京博物館1階会議室 (東京都墨田区・JR、地下鉄両国駅すぐ)
参加費:全国頸損連絡会会員/リハ工学協会会員500円、一般1000円
内容:両団体が共同で行った「頸損実態調査」から見えてきたものを、当事者とリハ工学の視点から報告します。
【お問い合わせ・申込み先】
 参加ご希望の方は、下記までご住所・氏名・連絡先・ご職業・障害の有無・情報保障の必要性の有無をお知らせください。
 E-mail:tksfzw@gmail.com 担当:実行委員 麸澤 孝


◆本の紹介
 『在宅人工呼吸器ポケットマニュアル——暮らしと支援の実際』


 在宅の生活の中にある人工呼吸器ケアのポイント、アセスメントや、安全・安心で的確な技術・手技について、豊富な写真と図を用いて、わかりやすく解説.人工呼吸器の補助で生活している人々と、その家族の目線から書かれた呼吸器ケアマニュアル!
[目 次]
第1章 人工呼吸器を使って生活する
第2章 呼吸のしくみと人工呼吸器のしくみ
第3章 非侵襲的呼吸管理 
第4章 気切人工換気 
第5章 在宅における感染防止対策
第6章 人工呼吸器装着中の患者の吸引、
    栄養ケア 
第7章 在宅人工呼吸器生活者の生活実態
    とケア
第8章 各専門職の役割分担と連携
第9章 当事者・介護者の思い 
第10章 人工呼吸器の決定? 
第11章 人工呼吸器ケアに関する倫理問題

 川口 有美子・小長谷 百絵 編
 医歯薬 出版 2,730円(税込)





◆ソフトバンク ホワイトプランにも「ハートフレンド割引」適用拡充

 今までオレンジプランやブループランに提供されていました割引サービス「ハートフレンド割引」(障害者割引)が、ホワイトプランにも2010年6月1日(火)より(iPhoneにも)適用開始されます。
 ホワイトプラン向けの「ハートフレンド割引」に加入すると、ホワイトプランの基本使用料が無料になり、TVコールの国内通信料が半額、パケット定額サービス(パケットし放題・パケット定額フル)に加入の場合、下限料金が0円からになります。なお、ハートフレンド割引は、同一名義での申し込みは1回線に限定。
 代理人による申し込みは、家族・関係者等が委任状を提出にて可能です。
 詳しくは最寄りのソフトバンクショップか電話サポート0088−21−2000(無料)へお問い合せ下さい。

申し込み受付開始日/6月1日
対象者/身体障害者手帳交付者
申込みに必要な提出書類/身体障害者手帳


◆福祉用具ニーズ情報収集・提供システム

 よりよい福祉用具を作るために意見やご要望、お困りなどをお聞かせください。
 障害をお持ちの方や介護される方から、福祉用具に関する生の声をお聞きし、安全で、使いやすい良質な福祉用具の開発につなげることを主な目的としています。
 http://www.techno-needs.net/


◆ロードサービスの対象車種を改定します

 平成22年4月1日から、これまでロードサービスの対象としていなかった事業用自動車(法人タクシーなど)について、ロードサービスを実施します。
 同時に、キーの閉じ込み、燃料切れ救援作業に限りますが、車両重量3001kg以上の自動車についてロードサービスを実施します。
 福祉車両においても、個人会員の方が同乗されていればサービスを利用できます。
 詳しくは、ホームページをご覧ください。
 (「JAF Mate」2010年4月号から)


◆訪問介護の生活援助、必要に応じ「日中独居」でも可能−厚労省が通知

 厚生労働省は12月25日付で、同居家族などがいる場合の訪問介護サービスの取り扱いについて、都道府県の介護保険主管課長にあてて通知を行った。いわゆる「老老介護」や「日中独居」であっても、必要に応じて生活援助が受けられることが再度確認された。
 山井和則政務官は同日の記者会見で、「ここ2、3年で、同居家族がいるという理由でホームヘルプが来てもらえない、介護サービスが利用できないという苦情が非常に多い」と指摘。厚労省は一律にそういった判断をしてはならないと昨年8月に事務連絡を行っているが、「各都道府県、各市町村で非常に大きなばらつきがある」と述べた。
 通知では都道府県に対し、「生活支援等において同居家族等がいることのみを判断基準として、一律機械的にサービスに対する保険給付の支給の可否について決定することがないよう」管内の市町村に周知徹底するよう求めている。
 また、厚労省は利用者向けに訪問介護サービスを紹介するチラシを作成した。
 チラシでは生活援助を利用できるケースとして、「利用者が独り暮らしの場合」「利用者の家族等が障害や疾病等の理由により、家事が困難な場合」に加えて、「利用者の家族が障害や疾病でなくても、その他の事情により、家事が困難な場合」も挙げている。
 「その他の事情」の例としては、「家族が高齢で筋力が低下し、行うことが難しい家事がある場合」といった「老老介護」なども対象となるほか、「家族が介護疲れで共倒れなどの深刻な問題が起きてしまうおそれがある場合」「家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合」といった「日中独居」も挙げている。
 山井政務官は「一部の悪い例では、昼間は日中独居にもかかわらず、同居家族がいるためにホームヘルプを受けられない状況があった」とし、家族が仕事で不在のときに日常生活に支障が出る場合は、訪問介護を利用できると説明した。
(情報提供:平成22年2月25日 医療介護CBニュース)








【編集後記】


 昨年は褥瘡等により長期入院していましたが、おかげさまで1月末に退院して、ボチボチ無理せずに生活しております。ガタッと落ちた体力を取り戻していきたいと思います。ご迷惑とご心配おかけして申し訳ありませんでした。
 そして「はがき通信」の仲間に支えられ編集に今号から復帰させていただきました。編集を行う中でとても重要な原稿依頼等の原稿を集めることは瀬出井さんに行っていただき、‘仮免許’編集委員として編集いたしました。1年ぶりの編集作業は、忘れていることも多くバックナンバーを見返して少しずつ確認しながらの作業となりました。無事終わったときは、はじめて編集したときのようにホッといたしました。
 次号も続けて藤田が編集を担当いたします。


編集委員:藤田 忠







………………《編集委員》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:fujitata@aioros.ocn.ne.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp

………………《広報委員》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 松井和子            
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2010.4.1.時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0069 福岡県福岡市東区郷口町7−7
TEL&FAX: 092-629-3387
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

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