はがき通信ホームページへもどる No.111 2008.5.25.
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も く じ
ballごあいさつ 編集部員:藤川 景
ball2008年「はがき通信」懇親会 in 京都
ball再び新幹線通勤となって 編集顧問:松井 和子
ball酷い痙性を抑えるためのバクロフェン髄腔内投与治療 東京都:T.S.
ball私の『自立生活』……“たんこぶ”だらけの奮闘記 福島県:T.S.
ball短歌(4) 宮崎県:R.S.
<連載特集!「介護する側、される側」>
□介助者とのやり取りのなかで 神奈川県:F.H.
□塵も積もれば…… 神奈川県:カメタロウ
ball腰折れ俳句(3) 熊本県:K.S.
ball骨密度、私の場合 まるまる丸子
ball初めての大腸ガンの内視鏡検査 福岡県:Y.I.
ball新・今昔物語集 第四話『ユースホステルであった人々』 千葉県:T.D.
ball感謝 広島県:Y.O.
<特集!「車いすの工夫あれこれ」>
□ドリンクホルダーとライトについて 編集委員:瀬出井 弘美
□福祉機器展受賞のテーブルと自助具の工夫 宮崎県:Y.F.
ballヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功―再生医療前進へ(その3) 東京都:A.Y.
ballひとくちインフォメーション


ごあいさつ

 電動車椅子で電車に乗るばあいには必ず「スロープ板」が必要だ。改札口で「〇〇駅まで」と告げれば、駅員がホームと電車のあいだに渡してくれる。目的の駅に着くと、駅員がスロープ板を持って立っている。しかも自分が乗り込んだドアの前で。なんと優秀な日本の鉄道!
 ところがまれに到着駅に駅員の姿がないことがある。そんなときはどうしたらいいか。終点まで行くのはあまりにも惨め。かといって車内の非常ボタンを押したらダイヤが乱れるだろう。私はこうしている。開いているドアから車椅子のフットレストを突き出すのだ。すると車掌がそれを見つけてくれ、なんらかの方法で駅員に連絡が行くらしく、スロープ板を持った駅員がとんでくる。
 たとえ車掌が気づかずに出発しようとしても、ドアが閉まらなければ電車は動かないことになっている。はじに寄っていると、閉まろうとするドアに押されるかもしれないので、中央に陣取る。気おくれのするシーンだが、ここは度胸だ。
 帰宅したらめんどうでも鉄道会社に電子メールなどで駅員の不手際を投書する。重度障害者の日々は困難とストレスに満ちている。知恵をしぼって工夫をかさねるしかない。
  

編集部員:藤川 景



 2008年「はがき通信」懇親会 in 京都 


 今年の「はがき通信」懇親会の日時・日程が決定いたしましたのでお知らせいたします。会場と宿泊場所は昨年と同様、京都の「聞法(もんぼう)会館」です。
 なお、詳細なご案内と申し込み方法につきましては、次号・7月号で掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。

【会場と宿泊場所】
 『聞法(もんぼう)会館』
 京都市下京区堀川通花屋町上ル
 TEL:075-342-1122 FAX:075-342-1125 
 会場:多目的ホール・3F 宿泊:5〜6F 朝食:レストラン・B1 
 新幹線京都駅・烏丸口(からすまくち)より徒歩約15分 駐車場320台無料 
 チェックイン/15:00 チェックアウト/10:00

【日時と部屋数】
●2008年9月19日(金)〜21日(日)
 ・ツイン 7部屋 
 ・トリプル 13部屋
 ・車いす対応部屋 3部屋
 ・和洋室 10部屋(ベッド3・布団2)
※相部屋になることはありません。トリプルに2名でもかまいません。

【懇親会日程】
●19日(金) 受付13:30頃〜
 ・14:00〜15:30(開始挨拶・スピーチ等)
 ・15:30〜17:00
講演『I am Japanese.』(質疑応答含む)
  兵庫頸髄損傷者連絡会 宮野秀樹氏
 ※海外旅行など旅行にまつわるお話を関西弁で熱く楽しく語っていただきます。
 ・17:15〜18:00(夕食準備)
 ・18:00〜20:30(夕食レセプション:3Fホール)
●20日(土)1日観光
●21日(日)10:00〜12:00(スピーチ・「はがき通信」会議・終了挨拶等)

【宿泊料金】

 ・1泊目:2食付 14,000円
・2泊目:朝食付 11,000円
※大人1名の料金です。どの部屋も宿泊料金は同じです。
 夕食、朝食は無しでもかまいません。(夕食:3,000円/朝食:1,000円)




[お申込み・お問い合わせ先]
 <実行委員>
  麸澤 
  藤田


 ◆ 購読料のお振込みについて

 1月号の繰り返しとなりますが、ご本人が通帳をお持ちでない場合、ご家族等の通帳からの振替でもかまいません。その場合、後日必ず会計担当の占部さんまで「購読者名」のご連絡をお願いいたします。メール・FAXを歓迎いたします。





 【特集「どうしています?連絡方法」原稿募集!】

 いつもそばに誰かいるとは限りません。屋内で人を呼ぶ場合、外の人と連絡をとりたいとき、あるいは緊急時など、意志伝達はどうしているのでしょう。四肢マヒ者、とくに呼吸器使用の方にとっては命にもかかわる問題です。
 そこで次号・112号の特集のテーマは、「連絡方法」にさせていただきます。
 固定電話、携帯電話、ワイヤレス呼び出し器、緊急通報装置、あるいは呼び鈴にいたるまで、意志伝達の方法や工夫、気を付けていること、失敗談、危険な体験等々何でもかまいませんので、ドシドシご投稿ください。よろしくお願いいたします。

 締め切り:6月30日まで!



 再び新幹線通勤となって 


 緑の美しい季節となりました。4月半ば自宅周辺の水田にはすでに水がはられ、4月下旬の今、田植えはほぼ終了しています。淡い緑のか細い苗が水田一面に整然と広がる、そんな風景に心が和み、5月は私の最も好きな季節です。
 週末を外房で過ごし、日曜日の夕方には宿舎に戻る、そんな生活に3月末終止符をうつ予定でした。それが、またまた通勤、それも今回は新大阪を経由して和歌山までの遠距離通勤となりました。和歌山までというと、みな一様に「それは遠い! どうして」と言われます。O阪のTさんでさえ、「和歌山、遠いですね。松井先生もタフですね」と言われたのにはこちらもビックリ、自分がよほど大変なことに挑戦するのかと、着任前は少々落ち込んだものでした。
 着任したのは和歌山県立医科大学保健看護学部、私に声を掛けてくださった先生は、「意外と近いでしょ」と何度か念を押されますが、まだ素直にうなずく状態ではありません。いろいろと検討した結果、東京から新大阪経由で和歌山、さらにJR紀三井寺駅のルートが最適となりました。国内は結構出かけている私ですが、和歌山は初めてです。風光明媚(ふうこうめいび)、温暖な地で梅干しとみかんの産地(大学近くの路地で売っている清見オレンジや夏ミカンは1袋100円、とても美味しい)に加えて、華岡青洲(はなおかせいしゅう)や民族学や植物研究者として著名な南方熊楠(みなかたくまぐす)を輩出させた地であり、その資料館の知識くらいしかありませんでした。
 4月から和歌山県立医科大学保健看護学部で大学院と学部の在宅看護論を2年間担当することになり、週2日から3日、和歌山で過ごすことになりました。
 新大阪から和歌山まで特急で1時間、和歌山から紀三井寺まで6分ですが、特急は1時間に1本、普通は2本という交通事情が所要時間のわりに和歌山は遠いと言わせているようです。大学の最寄駅・紀三井寺は西国三十三ヵ所2番札所、桜の名所として有名だそうです。定宿にしたホテルは紀三井寺の前、5階の窓から山桜に囲まれたお寺がよく見えます。また大学の研究室の窓からも小高い丘のような緑豊かな山が近くに見えます。また大学から車で20分くらいのところにマリーナシティーという人工島に作られたリゾート地帯があります。私も定宿が満杯でそのリゾートホテルに1泊しましたが、景色もよく、快適でした。沖縄のリゾートホテルの小型化という印象でした。JR和歌山駅は各ホームにエレベータがありますので、ホテルに送迎用リフトバスがあれば、「はがき通信」の懇親会会場にも使えるかなと思いました。
 先週、かぶらぎ町花園地区という山里で1年生の合宿オリエンテーションを兼ねた地域実習に参加してきました。在宅看護論を担当するので和歌山の地域のことを知りたいという思いもあり、幸い科目担当の先生からぜひにと誘っていただき、大学から車で連れて行ってもらいました。車1台通るのがやっとという山道を登ったり下ったりして2時間弱の山村でした。緑の山の間に山桜、八重桜、ぼたん桜、しだれ桜、モクレン、つつじなどが一緒に咲きそろい、集落というより数軒ずつ散在する地区でした。人口400人、高齢化率44%、小中学生合わせて数十人という地区に町の保健師さんが一人軽自動車で駆け回って住民の生活と健康相談にのっています。保健師さんはこの地区で20年近く働き、住民一人一人の生活実態を掌握し、住民から頼りにされている方です。
 高齢化社会の重点政策の1つとして「Aging in Place、高齢者は住み慣れた地域で」をこれまで講義で学生に伝えてきましたが、朝刊が午後3時ころ届くという花園地区の高齢者の生活を垣間見て、今まで何も分からず言葉だけ学生に伝えていたと反省もし、いわゆる“限界集落”に近い実体にふれた貴重な体験でした。
 清瀬の国立看護大の在宅看護実習でも102歳の一人暮らしやゴミ屋敷の存在など学生の体験を通じて東京多摩地区の地域に触れてきました。和歌山でも新たな出会いを楽しみつつ、先生方や学生たちを通じて地域の特徴や実態をこれから存分に吸収し、体験したいと願っています。「はがき通信」にも時折、和歌山通信を送信できればと思っています。これからもよろしくお願いします。

編集顧問:松井 和子



 酷い痙性を抑えるためのバクロフェン髄腔内投与治療 


 私は5年ほど前に事故で頸椎の2番〜3番を脱臼骨折して、高位の脊髄損傷者になってしまいました。後遺障害は首から下の全身麻痺です。
 受傷後から約2週間程度で痙性といわれる、不随意運動が両足から起き始めました。受傷直後のため医師からは何も情報を与えていただけず、なぜ身体が動かないのか、突然に自分の意思とは無関係に勝手に足が動いてしまったり突っ張ってしまったりするのか分かりませんでした。医師に不随意運動が辛いことを訴えるとバクロフェン(商品名リオレサール)を日に1錠(5mg)処方してもらいました。まったく効果がなく、薬の処方はバクロフェンが日に6錠、デパスが日に3錠まで増えていきました。
やがて、急性期病院から一生全身麻痺の宣告を受け、埼玉県にある国立身体障害者リハビリ病院に転院しました。転院先の病院では多くの頸髄損傷患者と出会い、そしてほとんどの頸髄損傷者に痙性(不随意運動)があることを知りました。多くの人が個人差はあるものの、多少なりとも痙性を抱えていました。
 私の場合は痙性がすでに酷い状態なっておりました。リハビリで電動車椅子の練習をしても落車しそうになり、作業療法ではコンピュータ操作も痙性に邪魔されて試行錯誤の連続でした。リハビリ以外では食事などのためにベッドをギャッチアップすると痙性で座位が保てず、食事も困難なほどでした。
 リハビリ科の専門ドクターに相談しても、痙性がなぜ起きるのか? どうして個人差があるのか? 納得のいく説明が受けられないまま、今度はダントリュウムという薬を処方してもらい、飲んでいる経口薬のすべてが筋弛緩剤と精神安定剤の類と知りました。そして劇的な効果が得られないままに服薬ばかり増えていき、転院を繰り返して在宅介護へと移行しました。在宅介護では私自身への痙性からくる辛さに加え、介護者への負担も大きく食事から排便や睡眠に至るまで、私を含む家人のすべてが痙性には悩まされていました。
 ネット環境が家で整ってきて、ようやく自分で高速インターネットができるようになると真っ先に調べたのが痙性への対処法でした。時間はかかりましたが、何度も自分なりに調べた結果は選択的脊髄後根遮断術、バクロフェン髄腔内投与、選択的末梢神経縮小術などのキーワード、つまり手術が一番有効であることが分かってきました。
 私が勘違いしていたのは、専門医は整形外科医かリハビリ科医とばかりと思い込んでいたことです。臨床治験していたのは、東京女子医大病院の脳神経外科のドクターでした。診察を受けさせていただくだけでも時間がかかりましたが、診察ではまずは痙性を抑える手術をした場合の自分なりのゴールを決める必要があるということです。私のADLは全介助であることを始めに書いたのは、全介助でもゴールを設定する必要あるからです。私のゴールというか目標は介護者への負担軽減、福祉機器の操作性向上、そして痙性からくるストレスと慢性難治性疼痛の軽減、および服薬を減らすことに設定しました。
 問診の結果、バクロフェン髄腔内投与治療が有効とされました。体内に電池で作動するポンプ付きの薬剤タンクとカテーテルを埋め込み、ポンプから直接髄腔に持続的にバクロフェンを注入する治療法です。投与量は体外から調節します。かつ、2006年4月以降から体内に埋め込むポンプと埋め込み手術が疾患に応じて保険適用になりました。特殊ポンプ、手術を含めたすべてのケアが健康保険対応になり、低予算でこの治療を受けられることになったのも私が手術を受けようと思った理由のひとつです。
 この治療法の利点としては、
 1.痙縮の調節が自由に可能であること
 2.手術侵襲が少ないこと
 3.上肢を含めた広範な痙縮に対応できること
 4.神経組織を破壊しないこと、可逆的であること
 などがあげられます。
 一方欠点としては、
 1.人工異物を埋め込むこと
 2.定期的かつ厳重なフォローアップが必要なこと(人工異物の埋め込みという点からくるトラブルの管理、ポンプのプログラムが正常に作動しているかどうかの監視、体調に応じた薬剤量の調整、定期的な薬剤補充充填(じゅうてん)、電池消耗時の電池入れ替え手術等々)
 3.薬剤の過量投与や禁断症状が問題となる場合があること
 4.ポンプは電池と電子回路で作動しているため、心臓ペースメーカー同様、強い電磁的環境には注意が必要なこと
 です。
 入院は2〜3日と聞いていたのですが大間違いで、3週間近く入院しました。おそらく2〜3日というのは、スクリーニングテスト入院だと思います。スクリーニングテストとは、注射で髄腔内にバクロフェンを試験注入することです。このテストで有効かどうか体感して、ポンプを体内に埋め込む手術をするか自分自身で決めます。私は痙性がピタリと止まり、初めから手術をするつもりでいたので手術をすることに決めました。
 手術は全身麻酔で行います。手術後はICUに行くこともなく、そのまま病室に戻れます。私がかなり気になったのは全身麻酔で口からカテーテルを入れるため術前術後は水が飲めず、痰がものすごく出たためとても苦しかったことです。肺活量の少ない頸損者(私は1800ccでした)には辛い夜でした。1週間後に抜糸です。お腹と背中に少々の傷ですみました。退院後は定期的に通院して主治医のフォローアップを受けています。
 私の現在の薬量は237マイクロミリグラムです。バクロフェン1錠が5ミリグラムですから、髄腔内直接投与がいかに効果があるか分かると思います。しかし、所詮薬です。髄腔内投与といえども耐性がでてきたのか、術後7ヶ月で多少の痙性と内転筋群の強張りがでてきています。それでも術前にくらべれば、身体に刺激を与えなければ強い痙性は起こりません。
 あと重要なことは、欠点で指摘したフォローの一部になりますが、体内に埋め込んだポンプの電池寿命が5〜6年であることです。電池寿命がきたら、手術をしてポンプシステムを交換しなければなりません。あくまで私的な考えですが、専門ドクターとの相談のうえ5〜6年先のポンプ交換までも考慮した生活設計を考えておいたほうが良いと思います。

東京都:T.S.

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