大 会 宣 言


  本日、第58回全道ろうあ者大会は、190万都市「札幌」の手話にもなっている碁盤目状の街路に、春にはライラックの香りが漂い、秋には銀杏やポプラ並木が映え、郊外には藻岩山が見える「自然」と「都市」の要素を持つ札幌市で開催できたことを皆さまと喜びあいたいと思います。

  また、公益社団法人札幌聴覚障害者協会、札幌手話サークル連絡協議会、札幌手話通訳問題研究会などが、第58回全道ろうあ者大会実行委員会として大会の成功に向けて取り組んでこられた努力に心からの感謝を申し上げます。

  札幌で暮らす聞こえない仲間たちの手で、札幌聴覚障害者協会の前身が1947(昭和22)年に創立されて以来、11回目の全道ろうあ者大会が札幌で開かれます。

  メインテーマの「つたえよう広げよう 手話はいのち」は、私たちの取り組んできた歴史そのものであり、輝く未来につながっていく歴史だと確信します。

  私たちは、諸先輩が長年取り組んできたろう者の人権を守り、その運動を引き継ぐとともに音声言語と同じく、「手話は言語」であることが認知され、手話の獲得や手話で自由に会話ができる社会の実現を求めてきました。

  2011年から手話言語法の制定を求める運動を全国の仲間と共に進め、全国1,788自治体の議会すべてが「手話言語法の制定を求める意見書」を国に提出するという画期的な偉業を成し遂げました。

  さらに、手話言語条例を制定した自治体は2017(平成29)年5月21日現在で、97(道内13)に増え、社会は大きく変わりつつあります。

  今後も各地で手話言語条例が採択され、手話を学び、手話でコミュニケーションができる機会が広がっていくでしょう。

  2016年4月に障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が施行され、障害者を取り巻く環境は少しずつですが、着実に変わりつつあります。

  聞こえる人が日本語で暮らし、日本語で社会生活を営んでいるように聞こえない人も「手話言語法」「情報・コミュニケーション法」が必要なのです。

  このことが国民に理解され、定着していくよう、「北海道はひとつ」になって取り組んで行くことを宣言します。

 

2017年9月2日
  第58回全道ろうあ者大会

                 

大 会 決 議

1.障害者権利条約にある理念に則り、手話による社会的障壁の除去をめざして

 1)「手話言語法(仮称)」を制定し、社会のあらゆる分野で手話が日本語と同等に位置づけられ、使われるようにしていこう。
 2)情報・コミュニケーション法(仮称)を制定し、情報アクセスと情報アクセシビリティの保障を社会に創っていこう。
 3)「手話通訳士法(仮称)」を制定し、誰もが必要な時に手話通訳が保障される社会にしていこう。

2.「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の目的達成のために

 1)道内市町村に手話条例をつくり、手話が通じ合える環境を創っていこう。
 2)障害を理由とした差別、不平等、不合理なことをなくし、社会に参画していこう。

3.聴覚障害者情報提供施設を聴覚障害児・者の福祉、教育、労働環境充実の推進施設にしよう。

 1)情報・コミュニケーションのアクセスに困難を抱える国民を支援する施設にしていこう。
 2)災害時に対応できる情報発信設備を拡充していこう
 3)手話通訳、要約筆記、盲ろう者触手話通訳、移動支援などの人材を育成、派遣出来る施設にしていこう。

4.ろう者の雇用と職場における情報及び支援環境の保障を求める。

 1)ろう者が働きやすい職場環境づくりと、「聴覚障害」の特性を踏まえた合理的配慮の提供を求めるとともに、ろう者の職業開拓・技能習慣の機会づくりを求める。
 2)職業安定所へ手話協力員の常勤設置及び身分保障を求めるとともに、手話協力員委嘱要領の改善を求める。
 3)障害者介助など助成金制度の手話通訳派遣の給付期間、給付額上限設定の撤廃などを求め、企業が利用しやすい制度への改善を求める。

5.聴覚障害児・者教育の充実と発展のために

 1)聴覚障害児の学力的、集団的発達を保障し、ろう者として生きる力を育てるろう教育を求める。
 2)学校現場における聴覚障害への理解を深めるとともに教職員への手話研修の義務付けを求める。
 3)聴覚障害者教員の積極的な採用及びろう学校教員の専門性を尊重した人事異動を求める。
 4)ろう学校の単独障害学校としての存続、ろう学校の名称存続を求める。
 5)ろう学校での職業教育の内容・設備につき、人的・物的両面での充実を求める。
 6)聴覚障害者の高等教育、生涯教育の場においても手話通訳等の情報保障を図り、教育を受ける権利が保障されるよう求める。

6.福祉制度の充実のために

 1)日常生活用具の範囲拡充と給付制限の撤廃を求める。
 2)障害基礎年金の所得による支給制限の撤廃を求める。
 3)テレビ放送には、手話と字幕の義務付け、映画やDVDどの映像作品全てに字幕を求める。
 4)全ての政見放送に手話通訳及び字幕付与の義務付けを求める。
 5)ろう者が安心して使える「緊急放送・通信システム」の確立と、公的施設・避難所に『アイ・ドラゴン』設置を求める。
 6)福祉サービスを利用する際の応益負担撤廃を求める。
 7)日本語と同等の言語として、手話の獲得、習得使用、保存を求めていこう。

7.ろう重複障害者が働き、生活できる社会の実現のために

 1)ろう重複障害児への教育を一層充実させるとともに卒業後の労働、生活、発達権の保障を求める。
 2)ろう重複障害者の生活と職業実態を明らかにするよう求める。
 3)ろう重複障害者の発達保障のため、生活・労働施設の拡充と必要な人件費の制度的保障を求める。
 4)ろう重複障害者のための共同作業所やろう者が対象のディサービス活動に支援を求める。

8.手話通訳制度の法的確立のために

 1)手話通訳士資格を国家資格にし、専門性を高めていこう。
 2)手話通訳士を公的機関に正規職員として、一定数採用することを求めていこう。
 3)手話通訳コーディネート業務を制度的に確立し、健康を守る体制の確立につなげていこう。
 4)手話通訳者を『選挙運動に従事する者』に含めず、中立・公正を基本とし、公務員の通訳者も政見放送が担えるようにしていこう。

9.ろう者相談員の全道設置のために

 1)相談員を設置し、人件費の保障を求めていこう。
 2)国に対してろう者相談員制度の創設を求める。
 3)ろう者相談員を正職員として採用することを求める。
 4)ろあ者相談員の専門性確立と資質向上のため、国による継続的な研修制度を求める。

10.文化・スポーツ活動を推進するために

 1)ろうあ者による美術・演劇・文芸などの文化活動を広げ、進めることができる条件整備を求める。
 2)生涯スポーツ及び競技スポーツ活動を広げることを求める。
 3)誰もが健康で豊かにスポーツを楽しめることができる条件整備を求める。
 4)デフリンピックをパラリンピックと同等に位置づけること、理解を広めることを求める。

11.ろう高齢者のために

 1)ろう高齢者には、利用する制度、手続きの全ての段階で、充分なコミュニケーション保障を求める。
 2)ろう高齢者専門施設の増設と職員の人件費増額を求める。

2017年9月2日
第58回全道ろうあ者大会