新着情報20011210

新10年推進フォーラム&パソボラ・カンファレンス開催!
活発な討議 新しい時代への展望をひらく

 最終年記念フォーラムの協賛事業として、12月8日(土)・9日(日)の2日間、全国各地から延べ約580名の参加者が集まり、新10年推進フォーラム2001、パソコンボランティア・カンファレンス2001が全社協・灘尾ホール等(東京都千代田区)にて開催されました。主催は日本障害者協議会(JD)。

* 構造改革から障害者施策のあるべき姿を模索−新10年推進フォーラム2001−
* パソコンボランティア・カンファレンス2001も同時開催!


構造改革から障害者施策のあるべき姿を模索
 −新10年推進フォーラム2001−

  新10年推進フォーラムは、1993年から始まった「アジア太平洋障害者の十年」を強力にサポートするため、JDが毎年、障害者週間(12月3日〜9日)の中で開催している恒例イベントで、「アジア太平洋障害者の十年」のけん引役を果たしてきました。

 今回は「障害者施策と構造改革−21世紀、そのあるべき姿を問う−」がテーマ。国を挙げて進められている「聖域なき構造改革」の全貌を正しく理解したうえで障害者施策のあり方を考えていこうという、ダイナミックな発想・企画に基づいて行われました。

 冒頭の記念講演では、テレビにも多数出演している金子勝さん(慶応義塾大学教授)が、「世界同時不況とセーフティーネットのはりかえ戦略」という題で約1時間、熱弁をふるい(右写真)、「今日起こっている世界同時不況の情勢は1927年の世界大恐慌のそれと酷似している。それほど厳しい。昨今、声高に叫ばれている“市場原理”とは、強者が弱者をたたく原理ではなく、実は弱者が弱者をたたく原理であり、ルールも全くない無責任な原理。自立することは大切だが、弱者を社会に放り出すだけの施策ではダメ。対等な選択ができる社会でなければならない」と、指摘。

 そのうえで、「制度面での整備とともに、障害者を含めた、いわゆる普通の人たちが主人公である社会が実現できるようにしたい。障害の有無にかかわらず必要なときに利用できる年金制度の整備などが必要。また、地域の時代にかなった地域財源の確保、地域ごとの“小さな公共事業”の実現により、環境政策やバリアフリーなどの福祉政策の充実を図れば、人材も育ち、社会連帯も生まれてくる」と力強く提言した。

  記念講演のあとを受けて行われたパネルディスカッションでは、構造改革のなかに位置づけられる障害者施策のあり方について検討し、突っ込んだ討議となりました(左写真)。

 この討議のなかでは、具体的な障害者施策分野における構造改革の問題として、社会福祉基礎構造改革における「契約」制度への移行の問題、地方分権化と自治体の財源問題、障害者運動や団体活動自体の構造改革の必要性などが提起されました。

 これらを受け、障害者の権利条約制定、新・障害者プラン策定といった最近の動向や、障害者運動の構造的な見直しと評価などにも留意しながら、構造改革・市場原理の導入により障害者施策が後退することのないよう、一致した認識のもと取り組んでいこうという方向性が示されました。


パソコンボランティア・カンファレンス2001も同時開催!

 今回は、新10年推進フォーラムとの合同開催で、パソコンボランティア・カンファレンス2001が行われました。

 障害のある人々の社会参加のアイテムとして、重要な役割を担っているパソコンの利用をサポートする取り組みを「パソコンボランティア」(略称・パソボラ)とよび、注目を集めており、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムの国内推進キャンペーンのひとつにも「情報バリアフリーとIT環境の整備」の推進が掲げられています。

  障害のある人もない人も一堂に集い、交流し、求められる総合的なITサポートシステムについて考えていくイベントで、5回目の開催となる今回のテーマは「原点を見つめ、ITの世紀をともに」。これまでのパソボラ活動の取り組みを改めて検証し、新しい時代の総合的な情報バリアフリー支援システムづくりを模索することをねらいとしました。

 初日の12月8日は、パソボラ育成セミナー、ポイントレッスンなど、知識面・技術面での技術習得・人材養成に力を入れた内容で、熱のこもった意見交換も実現しました。

 翌2日目の12月9日は、パソボラ関係者らの情報交換・交流のための「全国パソボラ活動自慢」や、IT講習会と地域のIT支援のあり方を討論するシンポジウム(右写真)などを実施。地域社会に住む障害者が積極的に参加できる新しい障害者IT交流体制の実現やソフト面での人材育成、当事者の参画、ボランティア支援体制の充実などが提案されました。 

 また、同日、スペシャルトークとして第21期女流王将の石橋幸緒さんが講演しました(左写真)。
 「楽しい将棋で生きていけるならこんな幸せなことはない」という思いでプロ女流棋士をめざした石橋さんは、生まれながらにして腸閉塞を患いながらも養護学校での充実した生活、将棋との出会いについて紹介しました。

 そして「8種類ある将棋の駒は、どれをとっても完璧な駒はない。ただし、どれか1種類でも欠けてしまうと将棋は成り立ちません。人もまた将棋の駒と同じで、必ず目に見えない才能・特長を持っています。『万物生きてこそ光り輝く』という言葉がありますが、どんなことでもいいから、いろんなことをやってみてほしい。そして、少しでも楽しいと感じたらそれを続けてみれば、生きがいや目標ができるし、自分の個性を見つけることもできる」と、励まし勇気づける語りで、時には笑いを混ぜて会場を沸かせながら、イベントを大いに盛り上げました。


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