CCHSについて
●先天性中枢性低換気症候群
Congenital Central Hypoventilation Syndrome
「睡眠時、眠気がある時、心身にストレスがかかった時、風邪などの病状時」に、自律神経中枢、及び脳の呼吸中枢がうまく働かないことによって呼吸機能が低下する病気です。
私たちは生命を維持するために「呼吸」、すなわち“酸素と二酸化炭素のガス交換(換気)”を行っています。ガス交換は体内にいくつかある “センサー”によって常に見守られており、二酸化炭素濃度の上昇を感知するとセンサーは自律神経中枢に命令を送ります。自律神経中枢はすぐさま呼吸中枢に命令を出し、呼吸を促します。だから、私たちは眠っている間も無意識に呼吸をし、適切なガス交換を行っています。CCHSでは、二酸化炭素の上昇や酸素の低下に対する反応が弱いため、自律神経中枢、及び脳の呼吸中枢の調整のしくみに影響を及ぼします。結果的に「低換気」になり、“高炭酸ガス血症や低酸素血症”を引き起こします。
CCHSの主病因は、PHOX2B遺伝子の変異であることが分かっています。決して出産に問題がある訳ではなく、肺の疾患でもありません。また、中高年に見られる閉塞型睡眠時無呼吸とも異なります。PHOX2B変異遺伝子の“タイプ(ポリアラニンの伸長)”によって病態の程度は異なり、重い場合は、起きている時の低換気、ヒルシュスプルング病、不整脈、神経堤由来の腫瘍など、合併症が見られることがあります。成長に伴って病気の本質が変化することはなく、治療法はいまだ見つかっていません。大切なのは病気と上手く付き合っていくことです。例えば、視力が衰えれば眼鏡をかけるように、足が不自由であれば車椅子を使うように、CCHSのこどもたちは眠る時に人工呼吸器を使って換気をします。喉にカニューレという管を通して換気をする方法(気管切開)か、鼻マスクを使って換気する方法(バイパップ)が行われています。とりわけ、新生児、乳幼児時期はからだの機能が未発達で、いつでもどこでも寝てしまうため、常に人工呼吸器での管理が必要です。やがて昼夜の生活リズムが出来てくると、日中は人工呼吸器を外して普通に生活します。また、成長すると人工呼吸器から横隔膜ペーシングに移行することで、より自由な生活を選ぶことができます。
病因遺伝子の解明によってこの病気が“オンディーヌの呪い”と呼ばれた時代は終わり、現在もアメリカ、ヨーロッパ、日本の専門医によってさらなる研究が続けられています。
【CCHSの症例数】
CCHS Family Networkによると、世界の症例数は約650と推測されています。アメリカではCCHS症例数は400人弱と報告されており、約3億6千万人の総人口から推計すると、発症率は約76万分の1となります。日本は症例数70人弱に対して人口は約1億3千万人。約185万分の1の発症率と考えられます。先進国以外では正確な数を把握するのは困難であり、また“遅発性CHS”(病状が軽く、成人してから発症)も報告されているため、データは推測の域を超えません。現在CCHSの第一世代は40代に達しており、アメリカ、ヨーロッパ、日本でも大学生や社会人として自立しています。
【人工呼吸管理の方法】
CCHS Family Networkによると、2003年時点での気管切開による人工呼吸管理者は61%。バイパップは39%です。 気管切開の経験者は86%、未経験者は14%です。近年、アメリカでは横隔膜ペースメーカーの使用が増えてきています。また、不整脈に対して心臓ペースメーカーの併用も徐々に増えてきています。
引用 「CCHS196症例の疫学的調査」
【CCHSに関する研究論文】
※全てPDFファイルです。
“An Official ATS Clinical Policy Statement: CCHS(2010/04) ” New!
“CCHS From Past to Future: Model for Translational and
Transitional Autonomic Medicine”
“Pediatric Autonomic Disorders”
“Gene Reviews; Congenital Central Hypoventilation Syndrome”
“CCHS: PHOX2B Genotype Determines Risk for Sudden Death”
“Adult Identified with CCHS–Mutation in PHOX2b Gene and
Late-Onset CHS”
“Characterization of Dermatoglyphics in PHOX2B-CCHS”
“PHOX2B Mutation–confirmed CCHS Presentation in Adulthood”
“Later-Onset CCHS due to a heterozygous 24-polyalanine repeat
expansion mutation in the PHOX2B”
“Facial Phenotype in Children and Young Adults with
PHOX2B–Determined CCHS”
“Phrenic Nerve Pacing in CCHS”