障害者白書の刊行に当たって

内閣府特命担当大臣 加藤勝信

障害者白書は、平成5年に施行された「障害者基本法」に基づき、毎年国会に提出している年次報告です。最初に作成された平成6年から数え、今回で23回目となります。

我が国では、昭和45年の「心身障害者対策基本法」(平成5年に「障害者基本法」に改正)の成立等を契機に、障害者施策の総合的な推進が図られてきました。

本年4月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行され、我が国の障害者施策は、新たな段階を迎えています。この法律は、障害を理由とする差別の解消を推進し、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的としています。具体的には、障害者に対する「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮の提供」を求めています。また、この法律に従い、政府においては、職員が適切に対応するための「対応要領」や、事業者が適切に対応できるようにするための「対応指針」を既に策定しています。地方公共団体においても、「障害者差別解消支援地域協議会」の設置に向けた動きが広がるなど、障害者の差別解消に向けた取組が大きく動きつつあります。

今回の白書では、「障害者差別解消法」の施行までの取組を詳しく取り上げているほか、この法律制定の契機ともなった「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」の批准後の我が国の動きや、平成27年度を中心とした我が国の障害者施策全体の概況を紹介しています。

少子高齢化が進み、様々な課題が山積する中、私たちは、障害者を取り巻く様々な問題に目を向けていかなければなりません。全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるとの理念に立ち、引き続き、障害者施策の推進に全力で取り組んでまいります。

国民の皆様に障害者施策に関する理解と関心を深めていただくためにも、この白書が、多くの方々に広く活用され、全ての国民が互いの人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会を実現する一助となることを願っております。

平成28年7月

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