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ひどく(さむ)()でした。 (ゆき)()っており、すっかり(くら)くなり、もう(よる)――今年(ことし)さいごの(よる)でした。 この(さむ)さと暗闇(くらやみ)(なか)一人(ひとり)のあわれな少女(しょうじょ)(みち)(ある)いておりました。 (あたま)(なに)もかぶらず、(あし)(なに)もはいていません。 (いえ)()るときには(くつ)をはいていました。 ええ、(たし)かにはいていたんです。 でも、(くつ)(なん)(やく)にも()ちませんでした。 それはとても(おお)きな(くつ)で、これまで少女(しょうじょ)のお(かあ)さんがはいていたものでした。 たいそう(おお)きい(くつ)でした。 かわいそうに、(みち)大急(おおいそ)ぎで(わた)ったとき、少女(しょうじょ)はその(くつ)をなくしてしまいました。 二台(にだい)馬車(ばしゃ)(もう)スピードで(はし)ってきたからです。

片方(かたほう)(くつ)はどこにも()つかりませんでした。 もう片方(かたほう)浮浪児(ふろうじ)()つけ、(はし)ってそれを()っていってしまいました。 その浮浪児(ふろうじ)は、いつか自分(じぶん)()どもができたらゆりかごにできると(おも)ったのです。 それで少女(しょうじょ)(ちい)さな(はだか)(あし)(ある)いていきました。 両足(りょうあし)(つめ)たさのためとても(あか)く、また(あお)くなっておりました。 少女(しょうじょ)(ふる)いエプロンの(なか)にたくさんのマッチを入れ、()(ひと)たば()っていました。 ()がな一日(いちにち)(だれ)少女(しょうじょ)から(なに)()いませんでした。 わずか一円(いちえん)だって少女(しょうじょ)にあげる(もの)はおりませんでした。

(さむ)さと空腹(くうふく)(ふる)えながら、少女(しょうじょ)(ある)(まわ)りました――まさに悲惨(ひさん)()()いたようです。 かわいそうな()

ひらひらと()()りる(ゆき)少女(しょうじょ)(なが)くて金色(きんいろ)(かみ)(おお)いました。 その(かみ)(くび)のまわりに(うつく)しくカールして()がっています。 でも、もちろん、少女(しょうじょ)はそんなことなんか(かんが)えていません。 どの(まど)からも蝋燭(ろうそく)(かがや)きが(ひろ)がり、鵞鳥(がちょう)()いているおいしそうな(かお)りがしました。 存知(ぞんじ)のように、今日(きょう)(おお)みそかです。 そうです、少女(しょうじょ)はそのことを(かんが)えていたのです。

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