ゆっくりと目を開けてみた。
夢から覚めた。
夏の午後、高く昇っていた太陽は、いつの間にか地平線付近までかたむき、それでもその光は力強く、学習机で眠っていたボクを起こした。
どこか遠い旅に出ていたような、不思議な感覚だった。
ボクは手の中に、固く冷たく、でもどこか生命力のあるものを感じ、にぎっていた左手を開いた。
お父さんに宇宙科学館で買ってもらったシャープペンのノック部分だった。
それは、地球の形をしていて、夜光塗料のせいで青く輝いていた。
海が見える。
生命が見える。
宇宙が見える。
未来が見える。
ボクは決めた。
大きくなったら宇宙飛行士になるぞ!
「そうだ、将来の夢の作文を書こう。」
ボクは青く輝く地球を右手ににぎりしめた。しっかりと。