◎身体発育や栄養の状態を確認しましょう
乳幼児期の子どものからだつきは、成長とともに変化し、個人差や栄養法による違いが大きいです。お子さんの身長や体重の値を定期的に身体発育曲線のグラフに記入して、身体発育や栄養の状態を見ましょう。
◎授乳について
赤ちゃんの栄養は母乳が基本です。特に初乳は、赤ちゃんを病気から守ってくれる成分が多く含まれています。お母さん自身の病気などの影響で母乳を与えられないとき、また、お母さんの仕事の都合によっては、人工乳(粉ミルク)を活用します。
飲む量は赤ちゃんによって個人差があるので、むりに飲ませることはしないでください。よろこんで飲み、体重が順調に増えているのなら心配ありません。授乳に関することなどで心配なことがあるときは、出産した医療機関の助産師などに相談しましょう。
◎人工乳(粉ミルク)のつくり方
粉ミルクのつくり方は、製品によってきめられたとおりの濃さに溶かすことが大切です。井戸水やわき水は、雑菌によって赤ちゃんが体調をくずすことがあります。赤ちゃんの粉ミルクや水分補給には、水道水、水質基準の検査に合格した井戸水や、ミルク調製用の密封容器に入った水などを使いましょう。
粉ミルクの調乳の前には必ず手を洗い、一度沸騰させた70℃以上のお湯でミルクを溶かし、充分に冷まして体温ぐらいになっていることを確認してから飲ませるようにしましょう。飲み残しや調乳後2時間以上たったミルクは必ず捨てましょう。
◎はちみつを与えるのは1歳を過ぎてからにしましょう。
◎離乳について
母乳や人工乳だけをとっていた赤ちゃんに、なめらかにすりつぶした状態の食物を与えはじめ、次第に食物の固さと量、種類をふやしていくことを離乳といいます。なめらかにすりつぶした食物を与えはじめるのは、5~6か月頃が適当です。
なお、離乳開始前の乳児に果汁を与えることについて栄養学的な意義は認められていません。また、スプーンなどの使用は、通常生後5~7か月頃にかけて哺乳反射が減弱、消失していく過程でスプーンが口に入ることも受け入れられていくので、離乳の開始以降でよいです。83ページ離乳を段階的にすすめることで、しっかりかむ力や飲み込む力が発達します。
9~10か月頃になると、手づかみ食べが始まります。手づかみ食べにより、自分で食べる練習になるとともに自分で食べる意欲が育ちます。
◎離乳の進め方の目安
子どもの発育、発達の状況にあわせて離乳をすすめましょう。また、生活リズムを身につけ、食べる楽しさを体験していくことができるように工夫しましょう。
図
[図、終わり]
注)離乳食のポイント
ア 食品の種類と組合せ
離乳の進行に応じて、食品の種類を増やしていく。1日2回食に進む頃には、穀類、野菜・果物、たんぱく質性食品を組み合わせた食事とする。ベビーフードを適切に利用することができる。
① 離乳の開始では、アレルギーの心配の少ないおかゆ(米)から始める。新しい食品を始めるときには一さじずつ与え、乳児の様子をみながら量を増やしていく。慣れてきたらじゃがいも、野菜、果物、さらに慣れてきたら豆腐や白身魚など、種類を増やしていく。はちみつは乳児ボツリヌス症を予防するため、満1歳までは使わない。
② 離乳が進むにつれ、卵は卵黄(固ゆで)から全卵へ、魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へと進めていく。ヨーグルト、塩分や脂肪の少ないチーズも用いてよい。84ページ食べやすく調理した脂肪の少ない鶏肉、豆類、各種野菜、海藻と種類を増やしていく。脂肪の多い肉類は少し遅らせる。野菜類には緑黄色野菜も用いる。
③ 生後9か月以降は、鉄が不足しやすいので、赤身の魚、肉、レバーを取り入れ、調理用に使用する牛乳、乳製品のかわりに育児用ミルクを使用するなど工夫する。生後9か月になっても離乳が順調に進まない場合には、フォローアップミルクの併用もできる。
イ 調理形態・調理方法
離乳の進行に応じて、食べやすく調理したものを与える。子どもは細菌への抵抗力が弱いので、調理を行う際には衛生面に十分に配慮する。
① 米がゆは、乳児が口の中で押しつぶせるように十分に煮る。初めは「つぶしがゆ」とし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め、軟飯へと移行する。
② 野菜類やたんぱく質性食品などは、初めはなめらかに調理し、次第に粗くしていく。
③ 調味について、離乳の開始頃では調味料は必要ない。離乳の進行に応じて、食塩、砂糖など調味料を使用する場合は、それぞれの食品のもつ味を生かしながら、薄味でおいしく調理する。油脂類も少量の使用とする。
◎離乳の完了
離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳または人工乳(粉ミルク)以外の食物からとれるようになった状態をいいます。その時期は生後12~18か月頃ですが、母乳又は人工乳を飲んでいない状態を意味するものではありません。この頃には1日3回の食事、1日1~2回の間食となります。
◎幼児期の食生活
幼児期は、食生活の基礎ができる時期です。規則正しく食事をする習慣をつけること、子どもにとっては食事の一部である間食についても量や栄養のバランスに気を配ること、食べ物の好き嫌いを少なくすることが大切です。
家族そろって楽しい食事の雰囲気をつくることが大切です。この時期には食べ方のむらがあります。機嫌がよく、日常生活が普段と変わらないようであれば、食事を無理強いすることやだらだら食べさせることはやめましょう。
※詳しくは、市区町村の管理栄養士などに相談してください。
(参考)
・授乳・離乳の支援ガイド(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf)
・楽しく食べる子どもに(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/dl/s0219-3a.pdf)
・早寝早起き朝ごはんコミュニティサイト(http://www.hayanehayaoki.jp/)
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