現在わが国では、不慮の事故が子どもの死亡原因の上位となっています。事故の内容は年齢によって異なりますが、周囲が気をつけることで防げるものが大部分です。発育過程の中で、いつ頃、どんな事故が起こりやすいか知っておくことは、事故の予防の上で大切です。
表:月齢・年齢別で見る起こりやすい事故
月・年齢 | 起こりやすい事故 | 事故の主な原因と対策 |
新生児 | 周囲の不注意によるもの |
☆誤って上から物を落とす ☆上の子が抱き上げてけがさせたり、物を食べさせたりする |
窒息 | ☆まくらや柔らかい布団に顔が埋もれる(硬めの布団等を使い、仰向けに寝かせる) | |
1~6か月 | 転落 | ☆ベッドやソファーなどから落ちる(大人用ではなく、出来るだけベビーベッドで寝かせ、ベッドから離れるときは柵を上げる) |
やけど | ☆大人が子どもを抱いたまま熱い飲料をこぼす | |
7~12か月 | 転落・転倒・はさむ | ☆扉、階段、ベッド、バギー、椅子 |
やけど | ☆アイロン、魔法瓶や電気ケトルのお湯、炊飯器やスチーム加湿器の蒸気 | |
溺水 | ☆浴槽、洗濯機に落ちる(残し湯をしない) | |
誤飲・中毒 | ☆たばこ、医薬品、化粧品、洗剤、コインなど | |
窒息 | ☆お菓子などの食品がのどにつまる | |
車中のけが | ☆座席から転落(チャイルドシートで防止できる) | |
1~4歳 | 誤飲(中毒) | ☆範囲が広がり、あらゆるものが原因になる |
窒息 | ☆お菓子などの食品がのどにつまる | |
転落・転倒 | ☆階段、ベランダ(踏台になるものを置かない) | |
やけど | ☆熱い鍋に触れる、テーブルクロスを引いて湯をこぼす(テーブルクロスは使用しない) | |
溺水 | ☆浴槽に落ちる、水あそび | |
交通事故 | ☆飛び出し事故(手をつないで歩く) | |
火遊びによる死傷 | ☆ライター、マッチなどによる火遊び(子どもの手の届くところにライターなどを置かない) |
※参考「子どもを事故から守る‼ 事故防止ハンドブック」
(関連情報)
消費者庁ウェブサイト「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」
(http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/)
子どもの事故予防に関する豆知識や注意点などを、Twitterやメール配信しています。
子どもの事故防止ハンドブック ページ
・「消費者庁 子どもを事故から守る!」
Twitter(@caa_kodomo)
Twitterページ
・子ども安全メール from 消費者庁
子ども安全メール登録
80ページ
※ 化学物質(たばこ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性の中毒について情報提供、相談が行われています(異物誤飲(小石、ビー玉など)、食中毒、慢性の中毒、常用量での医薬品の副作用は受け付けていません)。
(公財)日本中毒情報センター(http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf)
・大阪中毒110番 TEL 072-727-2499(24時間 365日対応)
・つくば中毒110番 TEL 029-852-9999(9時~21時 365日対応)
・たばこ専用回線 TEL 072-726-9922(無料(テープによる情報提供)24時間 365日対応)
◎子どもの命を守るチャイルドシート
法令で、6歳未満はチャイルドシート使用義務があります。子どもの命を守るため、また、事故による被害を防止、軽減するために、自動車に同乗させるときにはチャイルドシートを必ず正しく使用しましょう。チャイルドシートを使用していないと、使用しているときに比べて、事故時に死亡又は重傷となる率が著しく高くなります。また、チャイルドシートを使用していても取付方法や子どもの座り方が不適切な場合には、その効果が著しく低下するので、正しく使用しましょう。
※ 医療機関で生まれた赤ちゃんが退院して自宅に初めて帰るとき(生まれて初めて車に乗るとき)から使用できるよう、国の安全基準に適合したチャイルドシートを出産前から準備しておきましょう。また、チャイルドシートはできるだけ後部座席に固定するようにしましょう。
※ 乳幼児(6歳未満の子ども)を同乗させて自動車を運転するときは、疾病のためチャイルドシートを使用させることが療養上適当でないなど使用義務が免除される場合を除き、チャイルドシートを使用することが法律により、義務付けられています。
※ チャイルドシートに関する情報~生まれてくる大切な命のために~
警察庁ホームページ(http://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html)
国土交通省ホームページ(http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/)
(独)自動車事故対策機構(NASVA)(http://www.nasva.go.jp/mamoru/child_seat_search)
◎車の中の危険
窓を閉め切った車の中は、真夏でなくても短時間で車内温度が上昇し、子どもが脱水や熱中症を引き起こし、命を落とすこともあります。子どもが車内の装置を動かして事故になることもあります。どんなに短時間でも、決して子どもだけを残して車から離れてはいけません。また、パワーウインドウに首や指を挟まれて重傷を負う事故が起きています。操作する前に必ず一声かけ、普段はロックしましょう。
◎自転車の危険
子どもを自転車の幼児用座席に乗せるときは、ルールを守って安全な運転を心がけるとともに、自転車乗車専用のヘルメット及び座席のシートベルトを着用させましょう。自転車は普通・電動アシスト・幼児2人同乗用といった基準に適合した安全なものを選びましょう。また、転倒の恐れがあるので、決して子どもだけを残して自転車から離れてはいけません。
※ 警察庁ホームページ(http://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html)
81ページ
◎食べ物や玩具など、ものがのどにつまった時の応急手当
乳幼児は、大人が思いもよらないものを口にします。食べ物や玩具等がのどにつまると、窒息する危険があります。
周囲の大人が、普段から乳幼児ののどに詰まりやすい大きさの目安(3歳児の最大口径39㎜、口から喉の奥までの長さ51㎜。39㎜とは、トイレットペーパーの芯程度)を知り、食べ物や玩具の取り扱いに関する注意書きをよく確認するとともに、すぐに対処できるように、応急手当について知っておくことが必要です。
※ 口の中に指を入れて取り出そうとすると、異物がさらに奥へ進んでしまうことがあります。
図:【ものがのどにつまった時の応急処置】
(監修)日本小児救急医学会、日本救急医療財団心肺蘇生法委員会
[図、終わり]
82ページ