育児のしおり

 育児の上で保護者の方に心得て頂きたい各時期の子どもの成長に合わせた育児のポイントを記したものです。


◎ゆったりとした気持ちで

 赤ちゃんの成長や発達は個人差が大きいです。ほかの赤ちゃんとの違いをあまり気にしすぎないようにしましょう。毎日の育児は、身体的にも精神的にも負担がかかります。お母さん、お父さんにとっても、心と体の健康が一番大切です。休養をできるだけとって、何より健康であるよう心がけましょう。

◎子どもを健やかに育むために

 子育てにおいて、しつけと称して、叩いたり怒鳴ったりすることは、子どもの成長の助けにならないばかりか、悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。以下のポイントを意識しながら、子どもを健やかに育みましょう。

 1 子育てに体罰や暴言を使わない

 2 子どもが親に恐怖を持つとSOSを伝えられない

 3 爆発寸前のイライラをクールダウン

 4 親自身がSOSを出そう

 5 子どもの気持ちと行動を分けて考え、育ちを応援


健やか親子21ホームページ「愛の鞭ゼロ作戦」

QRコード


◎心配な時は相談を

 健康診査は、赤ちゃんの健康状態を定期的に確認し、気になっていることを相談する機会です。特に1歳6か月と3歳の健康診査は全ての市区町村で実施しています。きちんと受診し、赤ちゃんのこと、育児のことでわからないこと、不安なことがあれば、遠慮せずに、医師、保健師、助産師などに相談しましょう。子育て世代包括支援センターや保健所、市町村保健センター等では電話相談も受け付けています。保健師、助産師、子育て経験者などによる家庭訪問も利用してみましょう。

◎お父さんの役割

 お父さんもおむつを替えたり、お風呂に入れたり、あやしたりなど、積極的に子育てに参加しましょう。お母さんを独りぼっちにせず、精神的に支え、いたわることもお父さんの大切な役割です。お父さんとお母さんがよく話し、二人で育てていくという意識を持つことが大切です。


乳児期(1歳まで)

◎泣くことは赤ちゃんのコミュニケーション

 1~2か月頃の赤ちゃんが、おむつの汚れ、空腹以外で泣いたりぐずっているときは、だっこして十分なだめてあげましょう。赤ちゃんはお母さん、お父さんに抱かれると安心して泣き止みます。抱きぐせがつくと心配する必要はありません。6か月頃から夜泣きをする子がふえてきます。73ページおなかがすいている様子があれば、夜中でも母乳やミルクをあげてかまいません。話しかけたり、抱いたり、ときには遊んであげたりすることも必要です。

◎赤ちゃんはだっこが大好き

 赤ちゃんはだっこが大好きです。赤ちゃんがこわがったり、不安そうにしたりしているときは、だっこしてよくなだめて安心させてあげましょう。

◎赤ちゃんに話しかけましょう

 3~4か月になると、あやすとにっこり笑ったり、赤ちゃんから話しかけるような声を出したりするようになってきます。赤ちゃんの顔をのぞきこみ、話しかけて遊んであげましょう。

◎お父さんも育児を

 お父さんも赤ちゃんとスキンシップをしっかりもち、おむつを替えたり、お風呂に入れたり、できることから始めましょう。お母さんがお父さんに赤ちゃんを任せて外出できるようになると、お母さんも助かります。

◎食べること

 赤ちゃんは指をしゃぶったり、おもちゃを口に入れたりして遊びます。口の発達が促されますので、おもちゃなどは清潔にして与えましょう。9~10か月頃になると、自分で食べたがるようになります。

◎人見知りも成長の証拠

 人見知りは、子どもによって時期や程度はまちまちですが、家族と見慣れない人の区別ができるようになった証拠です。同じくらいの年の子と一緒にいる機会も、少しずつ作ってあげましょう。


幼児期(1歳頃)

◎自我が芽生えてきます

 自分でできることが増えるにつれ、なんでも自分でやりたいという気持ちが芽生えてきます。思うとおりにできずに、泣いたり、怒ったり、大声をあげたりすることもありますが、うまくできたときはほめてあげて、やる気を育てましょう。

◎絵本を読んだり、お話ししてあげましょう

 1歳6か月頃になると、動物やものを指差して教えてくれるようになります。一緒に絵本などを見て遊んであげましょう。親子のふれあいの時間を増やし、言葉の発達を促すためにも、テレビ、DVD、スマートフォンやタブレットなどを長時間見せるのはやめましょう。

◎生活リズムを整え、体をたくさん動かしましょう

 早寝早起きの生活にすると、子ども自身も元気よく遊べ、親も余裕を持って楽しく子育てができるようになります。歩いたり走ったり、体を十分に動かして、いきいきと楽しめる機会を作ってあげましょう。


74ページ

幼児期(2歳頃)

◎遊びは危険のない場所で

 走ったり、体を動かしたりすることがますます好きになります。なるべく外遊びや友だちとの遊びの機会を作り、危険のない場所で自由に遊ばせてあげましょう。クレヨンなどでなぐり書きを楽しんだり、積木やブロックでなにか意味のあるものを作ったりして遊ぶようになってきます。一緒に遊んであげましょう。

◎自立心が強くなります

 食事や着替えなど、自分ひとりでしたがるようになります。うまくできずに泣いて怒ることも多いのですが、少しずつほめながら、できることを増やしていきましょう。こわいことや、新しい体験に出会ったりして、お母さん、お父さんを求めてきたときには、だっこなどして優しく受け入れ、なぐさめてあげましょう。

◎少しずつ、おむつを取る練習を始めましょう

 「おしっこが出た」「うんちが出た」と言えるようになり、「出たら教えてね」という言葉も理解できるようになります。できたらほめる、失敗しても叱らないようにしていると、いつの間にかできるようになるものです。夜のおむつが取れるのはまだ先です。

◎むし歯予防に取り組みましょう

 むし歯ができやすい時期です。おやつの回数や時間を決める、仕上げみがきをする、フッ化物塗布を行うことによりむし歯を予防することができます。


幼児期(3歳頃)

◎まだまだ甘えたい時期です

 お父さん、お母さんは笑顔で子どもを抱きしめてあげましょう。

◎自己主張が始まります

 好き嫌い、自己主張、自分本位な要求をすることがあります。一方的に拒否しないで、まず耳を傾けて、優しく対応しましょう。自分のことは自分でやりたがる時期です。ちゃんとできなくても、ちょっとだけ手を貸しながら、できることはやらせましょう。

◎上手に叱りましょう

 危ないことやしてはいけないことについては、感情的にならず、なぜいけないのかを丁寧に伝えて、やめさせましょう。わかるようになったらほめてあげましょう。

◎家族で食事を楽しみましょう

 家族そろった楽しい食事と団らんの場は大切です。乳歯が生えそろう3歳以降はかむ力も育ってきます。多少歯ごたえのある物もゆっくりかんで食べさせましょう。口を閉じてよくかんで食べることなどによる健やかなあごの成長発育は、永久歯の歯並びにも良い影響を与えます。


75ページ

幼児期(4歳)

◎友だちと遊ぶ機会を積極的に

 4歳頃になると、役割を持った「ごっこ遊び」(ままごと、ヒーローごっこ、自動車ごっこなど)を楽しむようになります。友だちと遊ぶ機会を積極的に作ってあげましょう。

◎お手伝いしてもらいましょう

 家庭で、手伝いの役割を持つことは良いことです。食事の準備や調理など、できることを少しずつ手伝ってもらいましょう。

◎良いところをほめてあげましょう

 子どもの良いところを探して、ほめましょう。忙しくても、お子さんの話に耳を傾けましょう。


幼児期(5~6歳)

◎優しい気持ちで接しましょう

 子どもは親のまねをします。親が優しく接することで、子どもも優しく育ちます。

◎親子でふれあい遊びを

 手先の細かな動きが発達し、はさみや鉛筆も上手に使えるようになります。家にある様々な材料を利用して、親子で何か作ってみてはいかがでしょうか。ボール遊びもできるようになります。

◎ひとりで着替えをさせましょう

 時間がかかっても、励まし、出来たらほめてあげましょう。

◎家の中で役割を持たせましょう

 食器を並べたり、片付けたりするお手伝いなどを楽しくさせましょう。遊んだ後のおもちゃの後かたづけも、自分でできる習慣をつけましょう。

◎言葉や想像力が発達します

 5歳になると発音がはっきりし、きれいになってきます。タ行とサ行が混乱したり、言葉がつかえたりするときは、大人はむりに直そうとせず正確な発音でゆっくり話を聞いてあげましょう。絵本の続きのお話を一緒に考えるなど、子どもの想像力につき合ってあげましょう。

◎約束やルールを大切に

 仲良しの友達ができて、よく一緒に遊ぶようになってきます。友達とさまざまな体験をするなかで社会性を身につけていきます。約束やルールを守り、自分の好き嫌いだけで行動することから卒業するように、励ましてあげましょう。

◎永久歯が生え始めます

 一生使う大切な歯ですから、生えかわりをとらえて自分から歯みがきをする自主性を養いましょう。奥歯は大変むし歯になりやすいので、仕上げみがきを続けましょう。


76ページ

※子育てのヒント集

 文部科学省「子供たちの未来をはぐくむ家庭教育」ホームページ

 (http://katei.mext.go.jp/index.html)

 子育てのヒント集として「家庭教育手帳」を掲載しています。