・・・障都連の重点要求・・・

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福祉保健局長                                2011年8月31日

 杉村 栄一殿

 

2012年度東京都予算に対する
障都連重点要求

 

障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会

会長 小林 良廣

 

日頃よりのご援助、ご協力に感謝申し上げます。

さて、7月29日に障害者基本法「改正案」が成立しました。障害者の権利条約の批准に向けての一歩となります。同時に障害者自立支援法のかわる総合福祉法(仮称)に向けて「障害者制度改革推進会議総合福祉部会」での論議もすすんでいます。こうした動きが結実し、障害者が社会の中で誰もが対等にあたりまえの生活ができることを願っています。障害者と家族に多大な負担を負わせ、多くの問題点が指摘されている障害者自立支援法は、一刻も早く廃止し、憲法と障害者権利条約に則した新たな法制度の制定が必要です。東京都が引き続き国に対して障害者の生活と権利を守り発展させることを求める意見・要望を出すことを望みます。

 また国が新法制度を制定し、そのもとで新しい施策の策定実施にいたるまで、東京都はこれまで続けてきた東京都独自制度を継続・発展させるなど、障害者の生活と権利を守る施策を一層充実させる責務をもっています。障害者福祉の充実を求め、以下の点について改善を要求します。

 

 

1.総合福祉法(仮称)の制定にあたり次のことを国に要望してください。

 

(1)憲法と障害者権利条約に則り障害者の生活と権利を守り、発展させる総合福祉法(仮称)の一刻も早い制定をはかることを要望してください。

 

(2)国連障害者の権利条約批准にあたって、精神を遵守し、関係法律との整合性をはかるために法制度の見直しを行うことや選択議定書の批准を強く要望してください。

 

2.総合福祉法(仮称)が施行されるまで、障害者の生活と権利を守るため次のことを国に要望してください。

 

(1)障害者福祉制度を利用する際の費用負担を無くすよう要望してください。

 

(2)自立支援医療や補装具の費用負担を無くすよう要望してください。

 

(3)施設利用者に対する食費、光熱費、医療費、個室利用料などの負担を止めるように要望してください。

 

(4)障害程度区分は、障害者の生活実態に即した判定となるように抜本的に改めるように要望してください。

 

(5)報酬単価を大幅に増額するように要望してください。

 

@加算方式でなく、基本報酬を増額するように要望してください。

 

A施設や作業所に対しては、日割り計算でなく、月額計算とし、障害の特性に応じた対応ができるように要望してください。

 

(6)障害者年金の改善など、所得保障の確立を求めてください。

 

3.障害者の生活と権利を守るために、東京の障害者施策の充実をはかってください。

 

(1)障害乳幼児に関わる制度の充実をはかってください。

(2)学齢時の障害児の放課後保障等の施策の充実をはかってください。

 

@国の児童デイサービス事業に移行しても、障害児の訓練グループ、放課後活動グループなどへの補助制度を守り、拡充してください。

 

A障害児の放課後活動グループなどの新設を認めてください。

 

Bすべての放課後グループが移行できるまでは、「新体系移行」の期限とされる20123月末までに限らず今の水準の補助を継続するようにしてください。国の制度に移行した場合、条件が引き下がってしまうグループには、その差額を補助するようにしてください。

 

C国の「放課後等デイサービス」が、東京の放課後活動グループが移行できるような制度になるように、国に強く働きかけてください。あわせて都は国に、公費の水準や支払われ方の問題はもちろん、東京の放課後グループの実績も詳しく伝えてください。

 

(3)障害者の豊かな地域生活を保障する制度の充実をはかってください。

 

@障害者施策推進区市町村包括補助事業に組み入れられた東京都独自施策を、東京都が責任を持って継続・拡充させてください。

 

A東京都独自の減免制度を継続・拡充してください。区市町村の軽減策について積極的に援助してください。

 

B施設・事業体系の移行については、関係者の意向を尊重してください。新体系に移行した施設についても、家賃助成、サービス推進費など都独自制度を継続してください。

 

Cガイドヘルパーを病院への付き添いや学校の送迎等にも使えるようにしてください。また使用時間数を増やしてください。

 

D手話・要約筆記派遣制度の派遣時間などの区市町村格差をなくしてください。また、病院への付き添いなど、東京都が独自施策も含めて財政的援助も行い、充実をはかってください。東京都としての一定基準をつくり、区市町村に上積みを奨励してください。

 

E日常生活用具について、項目拡大や、地域福祉機器センターの設置に都が援助を行い、費用負担がないようにしてください。

 

F医療費助成、都営住宅に関する文書など東京都の文書・通知を点字・大活字・録音物でも発行するよう、関係機関に積極的に要請してください。また、都にその役割を担う部署をつくるよう福祉保健局がイニシアティブをとってください

 

G「視覚障害者日常生活情報点訳等サービス事業」を次の点で充実させてください。

 

 ・視覚障害者にも行きやすい場所で同事業を実施し、視覚障害者の情報入手の地域格差をなくしてください。

 

・文字サービス担当者と利用者の懇談会を年に1回以上開いてください。

 

・文字サービス室のパソコンに音声機能を付加して、朗読を受けながら使えるようにしてください。

 

・文字サービス室の預かり作業(通称)を再開してください。

 

H視覚障害「あはき」師の営業権が守られるよう次の対策を講じてください。

 ・無免許「あはき」業者の取り締まりを徹底してください。

 ・晴眼「あはき」師増加の要因となる晴眼はり・きゅう科の新設及び定員増への規制を検討してください。

 

 ・マッサージの名による風俗営業に強い規制を加えてください。

 

 ・カイロプラクティックの電話帳、新聞、雑誌、都バス・都電の広告の規制について検討を具体化してください。

 

I要約筆記派遣事業のグループ派遣のように全都的に必要な事業は、東京都が行うようにしてください。グループ派遣事業を復活してください。

 

J東京都の中途失聴・難聴者対象のコミュニケーション学習支援の継続・より一層の拡充を改めてお願いします。

 

K中途失聴・難聴者対象の手話講習会をこれまで通り継続実施してください。

 

L中途失聴・難聴者手話講習会の指導者の養成を実施してください。

 

M介護保険利用の障害者が、サービス供給量の削減、費用負担の増大にならないようにしてください。

 

・介護保険利用の障害者も障害者施策が必要に応じて利用できることを徹底してください。

 

・介護保険利用の障害者も障害者施策が必要に応じて利用できることを区市町村の窓口に指導を徹底してください。

 

N障害者自立支援法の「改正」において、今年10月より施行見込みのグループホーム・ケアホーム利用の際の助成としての「特定障害者特別給付費」の家賃補助は、月額上限が1万円ですが、現在、都がおこなっている2万4,000円の家賃補助とあわせて受給できるようにしてください。

 

・今回の国の制度化によって、現在都がおこなっている家賃助成の縮小が行われないようにしてください。

 

O障害者自立支援法の「改正」において、今年10月より施行見込みの重度の視覚障害者の移動を支援する国の個別給付としての「同行援護」は、現在、地域生活支援事業として各区市町村でおこなわれている「移動支援」の水準を下回らないように国に要望してください。

 

・都として現在の各区市町村の支給の水準を下回らない措置をはかってください。

 

P2011年度までとなっている移行支援策を受けている事業について水準の維持ができるように都として援助してください。

 

(4)重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当などの諸手当の所得制限を撤廃してください。

 

(5)重度心身障害者手当、障害者福祉手当など東京都独自施策を守り、支給額を引き上げ拡充してください。

 

(6)心身障害者福祉手当を精神障害者にも拡大してください。

 

(7)重症心身障害児(者)施設の建設計画を策定し、通所、入所とも十分な受け入れ体制をつくってください。また処遇の充実をはかるために、国の基準を超えた都独自の人員配置を行ってください。

 

(8)重症心身障害児(者)の緊急一時やショートステイが必要なときにすぐに使えるように、受け入れ先としての重症心身障害児(者)施設の建設を促進してください。また、十分な対応ができるような人員配置も行ってください。

(9)パソコンボラティアを幅広い障害者を対象に、自宅に派遣する制度を創設してください。情報交換、   社会参加、就労などに情報保障等は欠かせません。また、携帯電話や電子機器の先端機器を肢体障害者も利用できるよう支給制度を創設してください。ITサポートセンターを改善し都内各所に設け、機器を気軽に試用できるようにしてください。

 

(10)重度脳性マヒ派遣事業を継続してください。また、実情に合わせて、通所施設や居宅介護、移動支援  などと併給で切るようにしてください。

 

(11)車イス(電動を含む)や義足等補装具を生活をしていく上で複数必要な障害者に人には、制限することなく支給してください。

 

・外出用と室内用の車いすなど肢体障害者の生活実態に合わせ支給個数、耐用年数を決め、生活を守れるようにしてください。

 

・最新の技術を生かした新種を選べるようにしてください。

 

4.障害者をはじめ都民のいのちと健康を守るため医療制度を拡充してください。

 

(1)後期高齢者医療制度の撤廃を国に要求してください。

 

(2)東京都障害者医療費助成制度の所得制限を撤廃し、拡充してください。

 

(3)国民健康保険料の徴収に当たって障害者控除等の切り捨てによる保険料の負担増が起きないようにしてください。

 

5.障害者の就労を促進してください。

 

(1)「チャレンジ事業」の障害の範囲を拡大し、人数を増やし、採用に結びつくようにしてください。

 

(2)「東京ジョブコーチ事業」のような東京都独自施策を創設するなど、就労対策をすすめてください。

 

(3)視覚障害を有する、あんまマッサージ指圧、はり、きゅう(以下「あはき」と記載)師の卒後研修と就労を保障するために、都営の「あはき」治療所をつくり、視覚障害者の就労と生活の保障を行ってください。

 

(4)東京都の事業所にヘルスキーパーを配置し、視覚障害者の就労保障をすすめてください。

 

(5)官公庁や民間企業の重度視覚障害者の就労実態を公表するとともに、速やかに雇用計画を立て、実施するよう指導してください。

 

(6)障害者が通勤に使う自動車の駐車場・駐車料金を就労支援として補助してください。

 

(7)タクシーを使った通勤に対して、就労支援として補助してください。

 

6.福祉のまちづくりを推進してください。

 

(1)視覚障害者をはじめとする全ての乗客の安全を守るため、安全柵・ホームドアを都内全駅に設置してください。設置にあたっては、車いすが乗降しやすいようにしてください。

 

(2)都内の全ての駅にエレベーターを設置してください。また、エスカレーターも必要な場所に設置し、点字ブロックでの誘導も行ってください。2011年度以降も助成制度を設けてください。

 

(3)都内の全てのバスがノンステップバスになるよう配置計画を促進してください。視覚障害者などが使いやすいように、内部構造についても意見を聞いてください。

 

(4)都内のすべてのバス停にバスベイや屋根を設置し、使いやすくしてください。

 

(5)タウンバスの運行に対して路線設置への助成制度を充実してください。

 

(6)車道と歩道の境界には縁石を使わず、支柱を車道側にしたパイプ式ガードレールを設けるようにしてください。

 

(7)歩道の幅を2b以上確保してください。

 

(8)点字ブロックは「全盲に使える」「弱視者に見やすい」「晴眼者にそれとわかる」ものを選び、視覚障害者の立場に立った敷設を徹底してください。

 

(9)点字ブロックの意味を広く都民に啓発する施策を講じてください。

 

(10)ホテルやレストランなど公共性の強い施設についてバリアフリー化を徹底するように指導を強めてください。

 

(11)「だれでもトイレ」という名称を一考してください。また、車イス障害者が使用できないものについては、改造してください。さらに使いやすいものにするために、設置に当たっては障害当事者の意見を反映するようにしてください。

 

(12)商店街にも車いす障害者が使えるトイレの設置を働きかけるとともに、設置にあたって助成金を増額してください。

 

7.大震災を教訓に要援護者の立場にたった防災対策をすすめてください。

 

(1)東日本大震災で避難生活を余儀なくされている障害者に対する支援をしっかりと行ってください。

 

(2)東日本大震災を教訓に東京における要援護者の視点に立った防災対策をつくるようにしてください。

 

(3)防災対策の策定にあたっては障害者関係団体から意見や要望を十分聞き取るようにしてください。

 

(4)障害者施設や作業所の耐震化をはかるための費用の助成制度をつくってください。

 

(5)節電対策については、障害者や高齢者などの意見を十分聞き取り、安全で安心できる対応となるように関係機関等への働きかけを行ってください。

 

(6)火災予防条例により火災報知器の設置が義務づけられたことにより、障害者が設置する場合、多大な負担とならないように助成制度を設けるようにしてください。

 

8.高次脳機能障害者支援者普及事業や高次脳機能障害者支援者促進事業の予算を増額し、高次脳機能障害者の理解促進、福祉制度確立に努めてください。