TOPページ>連帯あいさつ 湯浅誠 貧困ネット事務局長(2009年10月30日 全国大フォーラム)

 
こんにちは。
私たちは反貧困ネットワークといいまして、貧困の問題に取り組むために、私自身はホームレス問題にずっと関わってきたんですが、多重債務や障害者問題に関わっている方、シングルマザー、生活保護、それから労働組合、さまざまな諸団体に関わる個人が連携して、この問題を、生活できる、生きていける国にしていこうと、そういうふうに横断的な枠組みをつくって運動をしている、そういう団体で、私はそこで事務局長をしております湯浅と申します。
よろしくお願いいたします。

私たちは、去年ですね、労働組合の人たちとも一緒に、この日比谷公園の、この会場の外で派遣村をやりました。去年の年末から今年の年始にかけてですね。そこには505名の方が集まりました。

また春にはですね、春の派遣村ということで、同じような取り組みを日本青年館の方でやったんですが、そのときには来られた方たちの4割は、何らかの疾病を抱えているという状態になっていました。

自殺対策などでもよく知られるようになっていますが、失業等を原因として、仕事が見つからない中で気持ちが追い込まれていってうつ病になってしまう。あるいは路上での厳しい生活、ホームレスの生活をする中で、心身がともに疲弊していくという中で疾病を抱えるに至ると。身体的にも精神的にも。そういった人たちは少なくありません。

また、10月16日には、先ほどの山井厚労省政務官にも出席いただいて、反貧困の世直し大集会を芝公園の方で開きました。そのときには、障害をもたれた方が障害者自立支援法はなぜ疾病などで入口規制をするのかと、私たちの生活実態と向き合って、どうか早急に生きる救いの手を差し伸べてください、こういう発言がありました。

今この日本の社会は、何かトラブルがあると、そのままコロコロコロコロとどん底まで落ちていってしまう。その間に、きちんと止めてくれるものがない。そういう社会になってきたいと思っています。私はそれを滑り台のようだという意味で、滑り台社会と言っています。

今、長妻大臣からもお話があったように、そういったことを、今までの流れを変えていくというのが、今回の政権交代の最大のポイントだろうと思います。今まで後回しにされてきた人たち、後回しにされてきたテーマ、それによって生きようとしても、なかなか生きられないような状態、それがさまざまな分野に広がっています。そこで優先順位を変えて、人が生活できる国に、人が生きていける国にしていこうというのが、今回の一番の大きな目的だと思うので、それを実現するために優先順位を組み替え、その働きかけを私たちもみなさんとともに行っていきたいと思います。

その意味で、制度の谷間のない、総合的な福祉施策、すべての人がアクセス可能な総合的な障害者施策。そういったものをつくる必要があるし、来年の予算や補正等で、今落ち込んでしまって生活できなくなっている人たちには、長く待っていることができませんから、緊急の経過措置等で対応する必要があるだろうと思っています。

私事になりますが、私は今週から内閣府の参与ということで、年末の対策を手伝うことになりました。年末まであと63日しかありません。新たな予算付けができないという中で、それでも去年のような事態にしないために、路頭に迷っている人が一人でも減るために、限られた中で工夫して政策を打っていきたいと思ってやっています。

中に入ってみて思うのは、基本的に政府の中でも、外でやることと基本的なことは変わらないなというふうに、私は思っています。
外で今まで運動でやってきたように仲間を増やして、声を挙げて、そしてみんなが同じ方向を向いて、その方向に向けて社会を変えていく。それは中に入っても結局同じです。味方をつくって説得して、今まで無関心だった人に関心をもってもらって、それでそこにこのことが大事だとわかってもらって、みんなでなんとかしていこうという雰囲気をつくりあげる。
その意味で、どこにいても私たちはそうやって理解者を広げ、運動を広げることが必要なんだと思っています。

今後も障害の問題に関わるみなさんと広く連携をして、垣根を越えて、さまざまな活動と運動を広げていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。

 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長
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