は が き 通 信 Number.11
POST CARD CORRESPONDENCE 1991.9.25

BAR

《ごあいさつ》

21世紀の入間の高等な趣味は、① 瞑想と思索、② 自家農園の野菜作り、③ スポーツ、の順になるそうです。私たち頸損は、① 瞑想と思索をする時間には恵まれています。寝ている私たちの存在も無駄ではまありません。

向坊

BAR
向坊氏がFAXを導入


Hello こんにちわ!ファックスをつけました。今までの電話番号と同じす。よろしく。

今回からファックスで原稿を送ります。これでまた、世の中の歯車に一歩深く組み込まれた感じがして、少しイヤなのですが仕方ありません。
夜の間にワープロに文を入れ、翌朝ヘルパーが来てプリントアウト、すぐにファックスで送ります。
ヤケドがすこし良くなってきましたので、9月は7日福岡行き、その夜をは電動車イスの上で寝て、8日黒崎行き、14日〜16日は山陰の温泉津、21日から23日湯布院に行きます。

向坊



"Let's HAMing"掲載の反響


前回のはがき通信でお知らせした、"Let's HAMing"9月号は見てくれましたか?大反響で皆さんから激励の手紙をいただき感激しています。ありがとうどざいました。中にはQSLカード(アマチュア無線で、交信した局と交換しあい、交信の証明にもなるはがき大のカードで、自作や写真入りもある)を送ってくれた人もいました。脳性麻痺の方や弟が頚髄損傷だという方からもお手紙をもらいました。ただ、こちらの無線機の状態が悪く、直接交信出来なかったのが残念です。


NHK厚生文化事業団が、毎年募集する心身障害福祉賞というnをご存知でしょうか? 私も最近知ったのですが、原稿の部とビデオの部があり、障害者本人の自立への挑戦や、障害者に携わる人も応募できるそうです。私が今まで暇つぶしに書いた物があるので、応募しようと毎日ワープロに向かってます。締め切りが9月一杯なので、興味のある方は今から来年に向け、構想を練ってみては如何でしょうか?

ワープロに検定試験があるのは皆さんご存知だと思いますが、アマチュア無線の免許書が送られてきたときの感激に味を占め、何とか今の私でも取れる資格をと思い、「ワープロ検定ハンドブック」を買ってきました。しかし、甘くみたのが間違いで、一番初級の4級でもマウステックではとても無理で、時間内では半分やっとでした。マウステック特別配慮がないかなぁ…・・

①入力    10分間に現代文300字
②作成・技巧 20分間で入力し簡単なレイアウト

11月23,24日東京新宿の戸山サンライズで、自立生活問題研究会全国集会が開かれます。私たち高位頸髄損傷者には少々遠い話しですが、将来の夢のため、実際に生活している脳性麻痺の方々の体験記を聞いてこようと思います。高位頸損も負けてはいられません!

僕が体が不自由なのは
神様が撲ならきっと
苦しみにたえられると
思ったからだ
僕は神様に選ばれたのだ

(この詩は、あるテレビ番組のエンディングに使われたものです)

これからは寒くなります。どうぞ皆様ご自愛のほどお祈り申し上げます。

沢渡温泉病院にて TF 13/SEP/91



ワープロで初めての手紙


前略。やっとワープロが打てるようになりました。□でマウスティッタをくわえて、操作しています。先生は、さぞか心配していたことと思います。申し訳ありません。でも、もう大丈夫です。ご安心ください。でも、かなり疲れるものですね。三〇分もくわえていると、首がいたくなってきます。後は、慣れるしかなさそうです。・・…略・…・皆さんによろしくお伝え下さい。

TF8月21日



Fさんは長いこと□述筆記で手紙など書いてきましたが、この通信で啓発されてワープロを活用する気になったようです。

編集部



北海道旅行記


僕は先日、北海道に行ってきました。7日から4泊5日です。行きは夜行寝台でしたので車中1泊ですから、実質的には3泊4日です。

大坂発の夜行寝台“日本海”で、まず着いたのは函舘でした。函館はあいにくの雨でしたが、夕方ごろに一時的に上がったので、すばやくロープ・ウェーで函館山に上がりました。ここからの夜景はかなり有名だそうです。函館市は函館やまを頂点に扇型に町が広がっており、地形的に有利です。町の明かりが夜空の星のようで抜群にきれいかったです。

次の日は特急で札幌に移動し、有名だけどくだらないという噂の時計台を見ました。冬は雪祭で有名な大通り公園なども歩いたりしました。その次の日は北海道大学に行き、ポプラ並木や「青年よ大志をいだけ」で有名なクラーク像を見たりしました。

11日は富良野でラベンダーを見ました。見渡す限りの麦佃、じゃがいも畑には圧倒されます。この日は本当なら熱気球に乗る予定だったのですが、雨降りのために中止したのです。北海道は僕にとっては寒く、あまりの寒さにカイロを買ったほどです。今後の旅行は寒いところはできれば避けたいところです。しかし、一度ほ行ってみるべきかもしれません。あの広い大地を歩いてみるべきかも知れません。


追伸

いつもニュースをありがとうございます。同じ障害を持つ人々の活動には興味深いものがあります。フィリピンの話はとても面白いですね。撲は寒がりなので熱い国には憧れます。自分にもできないだろうかと誘惑にかられます。また、それとは別にヨーロッパ旅行にも夢を持っています。もし、何か情報をもっておられたら、教えて下さい。

姫路 TT 8月5日 PM.09:30



5月に横浜、7月に北海道、それも長距離列車の旅、富良野では熱気球に乗る計画だったというTさんの行動力は重度の障害を忘れさせますね。今のような外出の自由を施設生活でどのように獲得したのか、Tさんに伺ってみました。

編集部



もちろん、最初から一人の外出にOKが簡単に出ていたわけではないです。初めの頃、家に帰省するとき親に迎えに来てはもらっても、一緒にいるのは門までで、その後は一人で帰る(片道15,6キロメートルを電動車イスで帰る)。

施設に戻って来るときも、一人で散歩しながら帰り、門の所に何時こ会うというふうにしていました。そんな行き帰りの途中や、長期の帰省中に一人で遊びに行ったりしているときに、どうしても施設の職員にあちらこちらで出会います。当然に僕が一人で動きまわっているというのは職員の問で噂になります。噂も何回も繰り返していくうちに、僕が一人で動き回るのは特別なことではなく、ごく普通の事であるという意識を職員が持つようになりまず。

そして、入所後1年半ぐらいたったある日に、園長にお願いし一入で外出しても良いという許可を取ることが出来たのです。親は迎えにきても門までで後は一人だということは園長も完全に知っていました。許可を取ることはそれほど難しくありませんでした。

TTさん談



自己紹介:KTさん


自己紹介かたがた相談させて下さい。神奈川県秦野市の新築後1年と出来たばかりの療護施設に入所しております。地形的には丹沢の二の塔の麓で標高300メートルの高台にあり、晴れた日には相模湾が開け大島の雄大な姿まで見渡せます。建物は個室もあるし、お酒も飲めます。風呂には週に3回と恵まれています。

また、見学者も多く、彼らは決まって「ここは良いところですね。景色もいいし、空気も美味しい」と感心して帰っていきます。しかし「思うように買い物に出かけられなくて不便ですね」と入所者の立場になって判断してくれる人はごくわずかです。

そう、かなりの山の中にあるのです。

コンビニエンス・ストアーは別にしてちょっとした商店街まで出るには電動車イスで坂を下り50分もかかってしまいます。もっと単独外出をしたいのでどこまで行けるのか少しづつ遠くまで出かけて実験している最中です。しかし帰りは上り坂ですし、バッテリーの劣化や季節変化も考えねばならず何時動かなくなるのか不安でなりません。もっと気楽に電動車イスで出かけられる方法がないかと思案ししている最中です。



以下から相談です。


バッテリーの残りを気にしないで済む方法を2つほど考えてみましたがいかがでしょうか。


(1)バッテリーを急速充電する。

ともかく走れるところまで走り、町まで出る。バッテリーが無くなりそうになったらガソリンスタンドで急速充竃する。ただこの方法はバッテリーを痛めると聞いていますが、どうなのでしょう?
どなたかすでに経験された方がいるのでは?
ニュースでは30分で充電できるバッテリーが開発されたなどと聞いていますが、まだ実用化されないのでしょうか?


(2)ガソリン駆動の充電機を積み込む。

そんな発電械を積んで充竜しながら走る。これならどこでも安心して達れるようになる。以前、北海道で開発されたと聞くいていますがその後どうなったでしょうか?
そのような手軽な機会をご存じの方がいないでしょうか?
ほかにも何か良いアイデアがあったら是非教えていただきたいのです。


秦野市 丹沢レジデンシャルホーム KK 1991/7/22


Kさんのお手紙は10号の印刷直前でいただきました。11号までは間がありますので、電動車イスの長距離使用のベテランTさんにお願いして次のようなご返事をいただきました。



Tさんの返信


バッテリーの件についてですが、あれこれと充電方法を考えているようですが、そんなに早くバッテリーは無くなるものではないと思うのですが。

バッテリーは1回充電すると、最低でも5,6時間は連続走行が可能なはずです。正確に計ったことがないので自信を持っては言えないのですが、新しいものだと7,8時間は持つのではないのでしょうか。

僕は日帰りの外出では充電器は絶対に持ち歩きません。朝に出て帰るのが深夜になる場合、15,6時間ぐらいうろうろすることになりますが、そんなときも問題ありませんよ。買い物をしたり、食事をしたり、映画を見たりそのときによって違いますが実質的には走行時間はその半分以下です。

バッテリーがある程度の時間持たないというのがどうにも理解できません。バッテリーは1年ぐらいで新しいものに変えていますか? 補充液は充分ですか? この2つに注意していれば大丈夫だと思うのですが。


どうしてもと言うのでしたら、東京の補装具研究所で充電器を積んだ電動車イスを見た事があります。一度、問い合わせをしてみてください。ガソリン・スタンドでの急速充電は昔に万が一の時はと考えていましたが、8年間未だかって実行したこもありません。容量を計算しながら、走っていることもありますが、それよりも満たん充電したバッテーはそんなに簡単にほなくならないですから。

TT



電動車イスと駅の改札□


はがき通信の皆さんお元気ですか。この夏をどう過ごしていますか。私は、絵を描くことに夢中になり、1ヶ月がかりで、一枚描きあげたところです。首から肩にかけて、バリバリ擬っていますが、充実感で一杯です。

先日、怪我をして初めて、愛車のチンコントロールの電動車イスで、相模鉄道に乗ろうと気合いをいれて駅に行きました。ところが、なんと改札□が狭くて電動車イスが通りません。私の電動車イスの帽は63cmなのですが、他の車イスよりも大きいのでしょうか。意外と改札□は狭いんですね。驚きました。

事前に、電話で、重くて大きい電動車イスと言ってあったのですが、駅長が、階段が5〜7段と少ないから大丈夫と親切に言ってくれたので、安心して行ったのです。結果は乗ることができず帰宅したので、とても残念な思いをしました。駅長の話しだと車イスの入はいつも、人と車イスを別々に抱えて、改作□を通っているのだということを聞いて、また、驚きました。私にも同じことをしようとしたんですが、すぐに諦めたようです。なにせ大きいものだし、小さな駅では、人手が足りないのも問題のようです。

実際に行ってみないと分からないことや、よく事情を話し合うことが大切だと感じ、いい経験になりました。

本社には、これからも電動車イスが利用できるように訴えていきたいと思います。ひとりの意見を聞いてくれる社長だと良いのですがでずが…‥。

また、ひとつひとつ色々なものに、挑戦していきたいと思います。

皆様もお元気で、ご活躍下さい。

追伸

(1)肩擬り予防&治療法

長時間、同じ姿勢を続けると肩凝りで夜れない事もあります。肩が凝らないようにするにはと、色々試してみて良かったのは、

ベッドの背を起こして座るときに、両手の下に枕などを置いて高くし、肩の負担を少なくする。

ベッドの背を起こして座りた時や、車イスに乗った時に、ときどき、方を動かす。肩を上に引き上げるように上げたままにして10秒ぐらいして、急に力を抜いてリラックスする、数回絞り返す(肩を前後に回したりする)。

仰向けに寝るときは、両手の下に枕を置いて高くする。または、両肩の下にタオルなど置いて少し高くする。一番気持ち良く眠れるのは、両手を横にひろげ大の字になるのがよい。

横向きに寝るときは、肩を前に少し出してもらう。

自分で手を動かせない人は、天井から紐を吊るして手を結び、肩の力で手を動かすとよい。

肩が擬った時は、色々工夫して試してみましたが、低周波治療器が良いようです。最初めはチクチクしますが、慣れてくると、とても気持ちがよくて、うとうとと寝てしまうこともあります。人に肩を動かしてもらうときは、肩胛骨をよく動かしてもらうと楽になります。

横浜 MI



横浜市にハンディキャブ設置


梯浜にやっとハンディキャプが6台入り早速利用してみました。料金は安いのですが、利用手続きが大変で、運行範囲が横浜市内で4時間が原則ですが、通院の場合は市外でも利用できます。七沢りハビリまで行ってきたのですが、往復7時間かかりました。

ハンディキャプ6台のうち、2台が2泊3日程度にレンタカー会社に委託して貸出をし、あとの4台をタクシー会社に委託して運行しています(運転手あり)。

まず利用するには、横浜市身体障害者社会参加捉進センターに、ハンディキャフ利用許可書が送ってきて、初めて利用できるわけです。2から3日後に利用するには、難しいようです。電話で直接予約ができるようになれは良いのですが…‥なかなか難しいですね。でもやっと足の確保ができ、これから外出が多くなりそうで、楽しみです。

横浜 MI



電動車イス?それとも手動イス?


私は現在、電動車イス(フルリクライニング/チンコントロール式)も持っていますが、まず車イスが体に合わせて作ってもらえないため、リクライニングを倒してして再度起こすと顎が元の位置に戻らず、チンコントロールで操作できなくなるし、痙攣(私の場合は足のみキツイ)が入ったり、田舎故に一歩家をでると、道は整備されておらず、小石にでもつまづけば、体がずり、これまたチンコントロールが効かないし、仮に部屋の中での使用でも体にあっていないために、少しでも体が横に倒れると、自分では体斡支持ができないために、元に戻れないのです。

そんな訳もあって、最近では妻も一日中働きに出るし、私自身もパソコン等に取り組む時間を沢山持ちたいし・…で、ついつい体に合わせて作った手動車イスを使ってしまいます。でも、そのおかげで、1日8時間でも それ以上でも一人で車イスに座り、パソコンにも向かえるのです‥…

もちろん、私のようなプッシュアップの出来ないものがリクライニングの電動を使えば、それだけお尻への負担も軽減きれ、良いことは解っていますが、幸い今の所は褥蒼もできないため、ついつい手動を使っています。

そんなかんなで、私自身は今の所これで満足?しているからいいようなものですが、最近私の廻りの頸損の人達から、「電動は重病に見えるから、上村さんのようにスッキリとした率イスに乗りたい!」といって、問い合わせてきたり、取り組みを始める人さえ出てきたのです。

確かに、手動はスマートにみえるが、それだけ介護者に負担をかけるし、私だって即手動に乗れたわけではなくて、最初は20分位で目眩、ダウンを繰り返し、何年もかかって出来るようになったことですし、スマートで軽傷に見えるが故のトラブル(例えば、本当にC4に見てもらえないことからくる扱いに苦労したり情けない思い、悔しい思いもしてきましたが、この辺りは逆に、私自身が電動を使っていると、ついつい甘えてリクライニングを倒し、長く正座?が保てなくなるように感じていますし、以前 私より少し程度の良い=チンコントロールでほなくて手でジョイスティックが使える入が、沢山の人の前で話しをするのに、壇上でリクライニングを倒したまま話しをされたのを見て、何か割り切れない、寂しさ=私は、常識においては、障害者も健常者も同じだ!と思っていて、それ故に 人の前に出るからにはそれだだけの自覚と姿勢、心構えを持たなくては…‥、持たないうちは人の前で話しをしても‥…、これは あくまでも私の勝手な持論ですので、悪しからず・…・)も数限珍なく経験してきました。

だから、即外見だけを見てまねられるのも困るし、私自身両方の利点や欠点のようなものを感じてきているだけに、どちらがどう!とは言い難くて、とても困っています‥

他の頸損の方達はどの様にお考えなのでしょうか?

岐阜 KU 1991.7.22 PM/5:00



ドライバッテリーで北海道・第6回リハ工学カンファレンス


始めまして。僕は、福岡に住んでいるKSといいます。スズキの電動リクライニング車イスを使っています。

8月26日から39日まで、札幌で開催された第6回リハエ学カンファレンスに参加し、「頸髄損傷者と生産活動③ 有償の生産活動を行っている5事例の重度四肢まひ者」を発表しました。


福岡空港から千歳空港までJSALの旅でしたが、ドライバッテり−を積んで行き、楽に行けました。使用したのは、GS Myty sealeds EB SEB35で、九州スズキに取り寄せてもらいました。補水不要(メンテナンスフリー)を目的とし、液もれ、酸霧のない完全密閉型を実現しているそうです。

のペ600人ぐらいの参加者は、リハ・エンジニアの他、重度の障害を持つ人たちの参加も多く、たくさんの刺激を受けた、楽しいカンファレンスでした。

福岡県 KS



Sさんは10月1日から8日間の日程で米国へ重度四肢麻痺者の生産活動に関する調査にでかけ、2日からかカルフォルニア・オークランドで開催される”21世紀に向けての自立生活”,とテーマの全米カンファレンスにも参加されるそうです。

編集部



本の紹介


デスクトップ型介助ロボットの客観的評価③
J.Hemmel,et al; Journal of rehabilitation Resesrch and Development,26(3),1989


米国で研究開発中のデスクトップ型介助ロボットについて、今回はモニターの18ヶ月以上に及ぶ使用による評価結果を報告します。

まず全体的な評価を示す図1をみると、10指標で満足度をを測定した結果、価値や安全性の点では90%の満足度、従順性やバーソナリティでも60%弱と、介助ロボットに好意的な評価を示しています。しかし大事な信頼牲について不満足が20%弱と高率を示すのがやや気になります。


図1:介助ロボット使用の満足度


図2を見ますと、歯磨き(95%)、配善(80%)、洗顔(70%強)、髭そり(60%強)の順に満足度が低くなっています。


図2:介助ロボット作業別の満足度


さらに実際の生活で入とロボットの介助比率を示す図3を見ると、4作業中、マウスティックを取る作業では大半のモニターがロボット介助を活用していますが、歯磨きや食事では8割、配膳になると6割強とロボット介助が減少し、反対に介助者の比率が高くなっています。


図3:ロボットと介助者の作業別比率


最後に、“自宅にこのロポットを導入したいと思いますか”という質問に体する答を図4でみると、使用後は”はい”が9割と、使用前に比べて倍以上高率となっています。


図4:介助ロボットの自宅導入


なおこの装置全体の価格は本報告の段階で約5万ドルということです。

神経研社会学研究室 W



睡眠中の金縛り現象


千葉のMNさんから9月中旬お電話をいただきました。夜テレビのクイズ番組で”金縛り”について神経研の研究が紹介されたので、詳しいことが知りたいとのことでした。Nさんは頸椎の圧迫で体が硬直し、痛みがひどく、夏は特に眠れず困っているそうですが、睡眠中しばしば”金縛り”状態になるので、その発生のメカニズムや解決方法についての問い合わせでした。

その研究をされた神経研心理学研究部門の宮下先生に伺ったところ、”金縛り”は、睡眠が集中してとりにくい人、不規則な睡眠パターンをとる人に生じやすい現象ですが、生理的現象であって、健常者の場合とくに心配するととはないそうです。身体的な障害による睡眠障害についても研究対象にしていないが、もう少し詳しいことが分かってきたら、教えて下さるとのことでした。

編集部



自動車事故対策センターの介護料


自動車事故対策センター(政府出資法人で運輸省管轄)をご存知ですか?

私は数年前の新聞記事で、交通事故によるいわゆる植物状態になった患者さんの専門施設である千葉療護センターを知りましたが、その施設を運営している自動車事故対策センターと高位頸損者の関係について知ったのはごく最近のことです。


介護料について

自動車事故対策センターの介護料が交通事故による高位頸損者にも支給されること、その額が日額数千円と他の制度に放ペはるかに高額であることなど、麩沢孝さんから教えていただき、関心を持って資料を集ぬてみました。

その資料によりますと、自動車事故による重度の障害者に対し、家族の救済を目的に介護料の支給とその重度障害者の治療と看護を目的とした療護施設が設置されたそうですが、その対象は脳損傷に限定されていました。

しかし介獲料に関してのみ1981年10月から高位頚損者が対象に加えられました。その支給は現行では、①自力移動が不可能、②自力摂食が不可能、③失禁状態、④人工呼吸器介添呼吸が必要な頸損者に限定されています。支給額は日額4千円(ただし自宅で看護婦またほ家政婦以外の介護の場合は2千円)となっています。

1991年7月31日現在の受給者は全国で脳損傷者662人、頸損者246人と報告されています。

しかし麩沢さんのようにお父さんが熱心に調べた結果、その制度を知ることができたということを考慮すると、必要条件を満たしながらも、本制度を知らず申請漏れになっている人ほまだ少なくないと考えられます。


自動車事故対策センター本部:
〒102 東京都千代田区麹町6-1-25上智麹町ビル TEL:03−3264-2168 0r 2181

編集部



千葉療護センター


このセンターは重度の意識障害み対象とした施設なので、頸髄損傷者は一人もも入所していないとのことでしたが、中途重度障害者という点では共通する課題があるので、多忙な総婦長さんに無理にお願いして、先日施設を見学きせていただきました。


センターのパンフレットによれば、有効かつ適切な治療と看護によって患者の回復と社会後帰の可能性を追究するという、世界初の医療目的を達成することが目的と掲げられているだけに、他の設備も職員の配置も非常に充実したもので、再重度障害者のモデル施設のような印象をうけました。はれた日には海の向こうに富士山が見えるという、眺めの良い広々とした病棟で若い職員が多数かいがいしく働いている様子も印象的でした。

総婦長きんのお話しでは、当初この種の施設を全国10カ所設置する計画だったそうですが、現在は千葉と仙台の2カ所で、もう一カ所岡山に建設中だそうです。

将来、高位の頸髄損傷者も対象にされるようになれば、現在よりはるかに生活環境が改善され、また家族も助かる人がいるのにと思わずにはいられませんでした。

松井


あとがき



前回まで連載した向坊さんの“自立のあゆみ”はしばらくお休みにさせて下さいとのことです。連載の通信がないと寂しくなります。ひと休みして、また再開されることを期待しています。

偶然なことに、今回は電動車イスに関する通信が多くなりました。Kさん、Uさんの質問にもご意見、感想などありましたらお寄せ下さい。

在宅、在宅と云わず、施設の必要性も考えてほしいという麩沢さんの問題提起を受けとめるかたちで、社会福祉施設に関する文献や資料を集めて勉強を始めるとともに、療護施設を中心に施設見学も始めています。その間感じたこと、考えたことを通信で少しづつ報告していければと思っています。

「社会の何の役にもならない僕です。出来ることなら何でもさせていただきます」とはがき通信へ心強い伝言が寄せられました。大いにカになっていただきましょう。

千葉のNさんは夏とくに眠られないそうですが、横浜のIさんは今年の夏ことのほか過ごし易かったそうです。皆さんは如何でしたか。次号は11月下句の予定です。

11月中旬までに通信を送って下さい。お待ちしています。

松井



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